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宿題中、スマホを机に置くだけで集中力は下がる?実験の結果が分かれる理由と置き場所の決め方

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わかっている度 ★☆☆ 低研究6本を整理出典照合済み(2026-10-12)
机の上のスマートフォンとノート
Photo: ISilec / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品・教材の紹介はしていません。出典は末尾)。

「触っていないから平気」と言って、宿題の横にスマホを置く子は多いものです。親としては、置いてあるだけで気が散らないか気になります。22本の研究をまとめた分析では、スマホを使ったり近くに置いたりすると、記憶の課題で小さな低下が見られました。一方で、同じ実験をやり直して差が出なかった研究もあり、子どもを対象にした研究はまだわずかです。結論が出ていないからこそ、置き場所は親子で試して決めるのが現実的です。

3行でわかる

  1. 22本の研究のまとめでは、スマホの使用や存在で成績は全体に小さく下がり、はっきりした低下は記憶の課題だけだった。
  2. 「机に置くだけで下がる」は、再現できなかった実験もあり、まだ結論が出ていない。研究の多くは大人が対象。
  3. 家庭では、別の部屋か見えない場所に置く日と、机に置く日を比べ、宿題の進み方で置き場所を決めるとよい。

01 結論から言うとスマホが机にあるだけで、宿題の集中は落ちる?

落ちる可能性はありますが、まだ結論は出ていません。研究のまとめでは記憶の課題で小さな低下が見られた一方、注意の課題では差がはっきりせず、差が出なかった実験も複数あります。

この話のもとになったのは、2017年にWardらが大人を対象に行った実験です。スマホを机の上に置いた人は、別の部屋に置いた人より、記憶と計算を同時に使う課題の成績が低かったと報告され、「ブレイン・ドレイン(脳の消耗)効果」と呼ばれるようになりました[1]。

ただ、その後の研究では結果がそろっていません。スマホが気になるかどうかは、課題の種類や人によって違う可能性があります。「置いてあるだけで必ず集中できなくなる」とも、「まったく関係ない」とも、今の研究からは言えません。

02 研究とデータでわかっていること「スマホがあるだけで集中が落ちる」研究はどこまで確か?

影響は小さく、条件によって分かれます。22本の研究のまとめでは全体で小さな低下があり、はっきりしたのは記憶の課題だけでした。地域別ではアジアの研究でのみ低下がはっきりしていました。

22本スマホの使用・存在と成績の研究をまとめた分析の研究数(43の結果を統合、2023年)
記憶だけ同じ分析で、はっきりした低下が見られた課題の種類(注意・一般的な成績でははっきりせず)
23人スマホが机にあるときの脳波を調べた子どもの研究の人数(5〜8歳、2024年)
1,227人学校のスマホ禁止と心の健康・学力を調べたイギリスの調査の人数(12〜15歳、2025年)

Böttgerら(2023)[1]

スマホの使用や存在と成績を調べた22本の研究(43の結果)をまとめると、成績は全体に小さく下がっていました(効果量 g=−0.14)。課題別では記憶(g=−0.23)だけがはっきり下がり、注意や教科のテストなど一般的な成績でははっきりした差がありませんでした。

対象: Wardらの実験と似た方法の研究 / 限界: スマホを「使う」研究と「置くだけ」の研究を合わせて分析している。結果のばらつきが大きく、アジアの研究(g=−0.39)でのみ低下がはっきりし、ヨーロッパと北米でははっきりしなかった。

Ruiz PardoとMinda(2022)[2]

Wardらの実験を同じ課題・同じ条件でやり直した、事前登録つきの再現実験です。スマホを机の上・ポケットやかばんの中・部屋の外に置き、電源のオンとオフも分けましたが、どの条件でも成績に差はありませんでした。

対象: Wardらの2つ目の実験と同じ6つの条件 / 限界: 子どもではなく、元の実験と同じ形式の実験室での課題。

Skowronekら(2023)[3]

20〜34歳の42人が、紙の集中力テストを自分のスマホがある状態とない状態で受けました。スマホがある組の得点は平均99.71で、ない組の108.95より低く、作業の速さも遅くなっていました。

対象: ドイツで行われた実験の20〜34歳の大人42人 / 限界: 人数が少なく、参加者の大半が高学歴の若い大人。子どもに当てはまるかはわからない。

ChristodoulouとRoussos(2025)[4]

18〜25歳の若い大人を、スマホなしの組と、自分のスマホを通知が届く設定で机の見える所に置く組に分けて、注意の課題を比べました。スマホがあっても、注意の成績に有意な差はありませんでした。

対象: 18〜25歳の若い大人 / 限界: 1回の実験室の課題で、長い時間の宿題とは条件が違う。

Shaerら(2024)[5]

5〜8歳の子ども23人が、簡単な反応課題をスマホが机にある状態とない状態で行いました。スマホがあると、認知のコントロール(注意を向けたり、反応を抑えたりする働き)に関わる前頭部の脳波(シータ波)が有意に弱まっていました。

対象: イスラエルの5.3〜8.5歳の23人 / 限界: 脳波の変化を見た研究で、宿題の成績が下がることを示したものではない。人数が少ない。

Goodyearら(2025)[6]

イギリスの中学校相当の30校で、校内での娯楽目的のスマホ使用を禁止している20校と認めている10校の生徒を比べました。禁止の学校の生徒は校内でのスマホ時間が約0.67時間(約40分)短かったものの、心の健康、学力、授業中の問題行動に差は見られませんでした。

対象: 12〜15歳の1,227人 / 限界: ある時点の比較で、禁止の効果を実験で確かめたものではない。平日・休日の使用時間全体には差がなかった。

一方、同じイギリスの調査では、スマホやSNSの使用時間が長い生徒ほど、心の健康・睡眠・学力などが悪い関連がありました[6]。「置き場所」だけでなく、1日の使い方全体を見ることが大切だと考えられます。

03 まだわかっていないこと子どもの宿題にも同じことが言えるのはなぜわからない?

子どもや中高生を対象に、スマホを置くだけの影響を宿題や成績で調べた研究がほとんどないためです。研究の多くは大人の短い実験室での課題で、結果も分かれています。

  • 小学生・中高生の宿題や家庭学習で、スマホが机にあるときとないときの成績を比べた研究は、今回確認できなかった。
  • 子どもの研究(5〜8歳)は脳波の変化までで、それが勉強の成果にどうつながるかはわかっていない。
  • アジアの研究で影響が強く出た理由は、まとめた研究者にも説明がついていない。日本の子どもでの研究も確認できなかった。
  • 通知の有無、画面を伏せるかどうか、スマホへの依存の強さで違いが出るかは、研究ごとに結果がそろっていない。

04 家庭で今日からできること宿題中のスマホの置き場所は、どう決めればいい?

影響が出る子と出ない子がいる可能性があるため、置き場所を変えて比べてみるのが一番確かです。そのうえで、見えない場所に置くなどのルールを親子で決めます。

1

置き場所を変えて、宿題の進み方を比べる

机に置く日と、別の部屋やかばんの中に置く日を数日ずつ作り、同じくらいの量の宿題にかかった時間や、ミスの数を子どもと一緒に記録します。「禁止」ではなく「実験」として始めると、話し合いやすくなります。

目安 小学校高学年〜高校生/各3日ずつ

2

迷ったら「見えない・手の届かない場所」にする

差がはっきりしないときは、宿題の間だけ別の部屋の決まった場所に置く方法が手軽です。研究で低下が見られたのは記憶を使う課題だったため、暗記や計算の多い宿題のときだけ、という決め方もできます。

目安 宿題の時間だけ

3

調べものに使う日は、使う時間を区切る

学校の課題でスマホを使う日は、「調べる時間は最初の10分」のように区切り、終わったら机から離します。置くか置かないかの二択にしないほうが、ルールが守られやすくなります。

目安 中学生〜高校生

4

親も、子どもの宿題中は手元から離す

リビングで宿題をする家庭では、親のスマホも同じ場所に置くと、ルールの理由を説明しやすくなります。一方的に決めず、子どもの意見を聞いて見直しの日を決めておきましょう。

目安 全年齢/宿題の時間

スマホを「使いながら」勉強する影響はながら勉強の記事、家庭のルールの決め方はスマホルールの作り方の記事、中学生との向き合い方は反抗期とスマホ制限の記事で整理しています。

05よくある質問

スマホの電源を切って机に置けば大丈夫?

はっきりしません。Wardらの実験をやり直した研究では、電源のオン・オフも条件に入れましたが、置き場所でも電源でも成績に差は出ませんでした。気が散ると本人が感じるなら、電源より先に「見えない場所に置く」ほうがわかりやすい方法です。

勉強中に音楽を聞くためにスマホを使うのはいい?

この記事の研究は、スマホが「そこにあるだけ」の影響を調べたもので、音楽を聞く場合は調べていません。音楽を流すなら、曲を選んだら画面を伏せて手の届かない所に置く、などの工夫ができます。音楽そのものの影響は勉強中の音楽の記事で整理しています。

学校でスマホを禁止すると成績は上がる?

イギリスの12〜15歳1,227人の調査では、校内での娯楽目的の使用を禁止している学校と、認めている学校で、心の健康や学力に差は見られませんでした。禁止の学校の生徒は校内でのスマホ時間が短かったものの、平日・休日の使用時間全体では差がありませんでした。

子どもが「置いていても平気」と言う。信じていい?

平気な子もいると考えられます。研究でも、スマホがあると成績が下がった実験と、下がらなかった実験の両方があります。一度、置く場合と別の部屋に置く場合で、同じ量の宿題にかかる時間を比べてみると、親子で納得しやすくなります。

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出典

  1. Böttger, T., Poschik, M., & Zierer, K. (2023). Does the Brain Drain Effect Really Exist? A Meta-Analysis. Behavioral Sciences, 13(9), 751. https://doi.org/10.3390/bs13090751
  2. Ruiz Pardo, A. C., & Minda, J. P. (2022). Reexamining the "brain drain" effect: A replication of Ward et al. (2017). Acta Psychologica, 230, 103717. https://doi.org/10.1016/j.actpsy.2022.103717
  3. Skowronek, J., Seifert, A., & Lindberg, S. (2023). The mere presence of a smartphone reduces basal attentional performance. Scientific Reports, 13, 9363. https://doi.org/10.1038/s41598-023-36256-4
  4. Christodoulou, A., & Roussos, P. (2025). "Phone in the Room, Mind on the Roam": Investigating the Impact of Mobile Phone Presence on Distraction. European Journal of Investigation in Health, Psychology and Education, 15(5), 74. https://doi.org/10.3390/ejihpe15050074
  5. Shaer, R., Eldin, S. N., Gashri, C., & Horowitz-Kraus, T. (2024). Decreased frontal theta frequency during the presence of smartphone among children: an EEG study. Pediatric Research, 96(7), 1699-1706. https://doi.org/10.1038/s41390-024-03155-x
  6. Goodyear, V. A., Randhawa, A., Adab, P., et al. (2025). School phone policies and their association with mental wellbeing, phone use, and social media use (SMART Schools): a cross-sectional observational study. The Lancet Regional Health - Europe, 101211. https://doi.org/10.1016/j.lanepe.2025.101211