考える力・学び

宿題中に動画やスマホを見る「ながら勉強」、学力への影響は?研究で確認

約4分で読めます

わかっている度 ★★☆ 中研究3本を整理
Photo of the interior of  Deichman Bjørvika, the main library of Oslo Public Library (Deichman) located between the Central Station and the
Photo: charlotte henard / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品・教材の紹介はしていません。出典は末尾)。

「動画を流していないと宿題が進まない」と言う子に、どう声をかければいいのか迷う親は少なくありません。勉強中に動画やスマホを同時に使う「ながら勉強」は、実は研究の世界でも関心が高いテーマです。学力への影響を、研究データから見ていきます。

3行でわかる

  1. 宿題中に動画やSNSを同時に使う子どもほど、実行機能(記憶力・処理速度など)や成績が低い傾向を示した研究が複数ある。
  2. ただし多くは相関関係を示す調査で、「ながら勉強が原因で学力が下がる」と確定したものではない。
  3. 宿題中だけ動画をオフにする、音を流すなら情報量の少ないものにするなど、家庭でできる工夫がある。

01結論から言うと

宿題中に動画やスマホを同時に使う「ながら勉強」は、実行機能や成績の低さと関連する研究がある。ただし因果関係はまだ証明されていない。

スペインの中高生977人を調べた研究では、宿題をしながら複数のメディアを同時に使う生徒ほど、記憶力や処理速度に関わる実行機能の問題を抱えやすく、国語・数学の成績も低い傾向が見られました。

一方で、これらの研究の多くは「ある時点の様子を調べた」調査です。メディアの同時利用が成績低下の直接の原因と言い切れるところまでは、まだわかっていません。次の章で詳しく見ていきます。

02研究とデータでわかっていること

宿題中にメディアを同時利用する子どもほど、実行機能や成績が低い傾向を示した研究が複数ある(相関関係)。

977人11〜18歳の生徒・スペイン6校が対象(2019年の調査)
118人8〜12歳(平均10.4歳)の子どもが対象(2021年の調査)
3人に1人3〜4歳児がすでにメディアを同時利用(米国、2015年)

Martín-Perpiñá, Viñas Poch, Malo Cerrato(2019)[1]

宿題をしながら複数のメディアを同時に使う生徒ほど、記憶力や処理速度に関わる実行機能の問題を多く報告し、国語と数学の成績も低い傾向が見られました。

対象: スペイン6校の生徒977人(11〜18歳)、うち114人のサブサンプルで実行機能を詳しく測定 / 限界: ある時点の様子を調べた横断調査で、メディア利用が成績低下の「原因」と確定したものではありません。

Cardoso-Leite, Buchard, Tissieres, Mussack, Bavelier(2021)[2]

メディアを同時利用する傾向が強い子どもほど成績がやや低い傾向がありましたが、これは睡眠の質の低下や、教師が評価した行動面の問題を介した間接的な関連でした。メディア利用時間そのものは、成績と直接結びついていませんでした。

対象: 8〜12歳の子ども118人(平均10.4歳) / 限界: 小規模なサンプルでの相関関係の分析です。

Kabaliら(2015、米国小児科学会誌 Pediatrics)[3]

3〜4歳児の3人に1人が、すでに複数のメディアを同時に使う「メディアマルチタスキング」をしていることがわかりました。ごく幼いうちから、この習慣が始まっている子どもがいることを示しています。

対象: 生後6か月〜4歳の子ども350人(米国の都市部、低所得層が多い地域の小児科クリニック) / 限界: 1つのクリニックに通う家庭が対象で、全体を代表する数字とは限りません。宿題中の利用ではなく、メディア利用全般を調べた調査です。

03まだわかっていないこと

「ながら勉強が学力を下げる」と確定した研究はまだない。メディアの種類や年齢による違いも、わかっていないことが多い。

  • 研究の多くは、ある時点の様子を調べた横断調査です。メディアの同時利用が成績低下の「原因」と証明したものではなく、もともと勉強に苦手意識がある子ほどメディアに頼りやすい、という逆の関係も考えられます。
  • テレビ・音楽・SNS・ゲームなど、メディアの種類による影響の違いはまだよくわかっていません。
  • 8〜12歳を対象にした研究では、メディアの同時利用と成績の関連は、睡眠や行動面の問題を介した間接的なものでした。直接の影響かどうかは、まだ整理できていません。

04家庭で今日からできること

動画やSNSを宿題中だけオフにする、音を流すなら情報量の少ないものにするなど、今日からできる工夫がある。

1

宿題の時間だけ、動画・SNSをオフにする

スマホやタブレットの通知もまとめて切っておくと、見るたびに気が散ることを減らせます。

目安 20〜30分の集中時間から

2

音を流したいときは、情報量の少ないものを選ぶ

歌詞のない音楽や環境音など、言葉や映像のないものに変えると、気を引かれにくくなります。

目安 小学生以上

3

動画を見たい気持ちは「宿題の後のご褒美」に置き換える

「終わったら一緒に見よう」と先の楽しみに変える声かけは、同時に見るよりも気持ちの切り替えにつながります。

目安 未就学児〜小学生

05よくある質問

宿題中に音楽を聴くのはダメですか?

歌詞のない音楽や環境音は、動画やSNSほど強く気を引かないと考えられていますが、音楽と学習の関係を調べた研究はまだ少なく、子どもによって集中への影響は異なります。様子を見ながら選ぶとよいでしょう。

「動画を流していないと宿題が進まない」という子は多いのですか?

「動画を見ながらでないと落ち着かない」と感じる子は少なくないとされています。無理に取り上げるより、宿題の後の楽しみに変えるなど、気持ちの切り替え方を一緒に探ると取り組みやすくなります。

出典

  1. Martín-Perpiñá, M. M., Viñas Poch, F., & Malo Cerrato, S. (2019). Media multitasking impact in homework, executive function and academic performance in Spanish adolescents. Psicothema, 31(1), 81–87. https://doi.org/10.7334/psicothema2018.178
  2. Cardoso-Leite, P., Buchard, A., Tissieres, I., Mussack, D., & Bavelier, D. (2021). Media use, attention, mental health and academic performance among 8 to 12 year old children. PLoS One, 16(11), e0259163. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0259163
  3. Kabali, H. K., Irigoyen, M. M., Nunez-Davis, R., Budacki, J. G., Mohanty, S. H., Leister, K. P., & Bonner, R. L. (2015). Exposure and use of mobile media devices by young children. Pediatrics, 136(6), 1044–1050. https://doi.org/10.1542/peds.2015-2151