考える力・学び

子どもが本を読まない。読書量と読解力は「お互いに伸ばし合う」関係だった

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わかっている度 ★★☆ 中研究5本を整理出典照合済み(2026-10-10)
本棚に並ぶ本
Photo: Roman Eisele / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品・教材の紹介はしていません。出典は末尾)。

「うちの子、全然本を読まない」「このままで国語や勉強は大丈夫?」と気になる親は少なくありません。99本の研究をまとめたメタ分析では、楽しみで読む本の量と、読解力やつづりの力には中〜強い関連がありました。ただし、読む力がある子ほどよく読む、という逆向きの面も大きいことがわかっています。無理に読ませる前に、その子の「読む力」と「読む時間」の両方を見るのが近道です。

3行でわかる

  1. 楽しみで本を読む量が多い子ほど、読解力・つづり・言葉の力が高い傾向がある(99本の研究のまとめ)。
  2. 関係は一方通行ではない。低学年では「読む力が弱い→読まなくなる」が先で、学年が上がると「本をよく読む→読解力が伸びる」が見えてくる。
  3. 本を読まない子には、まず読むのがつらくないかを確かめ、そのうえで本を手に取りやすい時間と環境を作る。

01 結論から言うと本を読まない子は、語彙や読解力に差がつく?

差がつきやすい傾向はあります。楽しみで読む本の量と読解力・言葉の力には、幼児から大学生までの研究で中〜強い関連が見られます。ただし「読ませれば必ず伸びる」とまでは言えません。

研究者は、読書と読む力の関係を「上向きのらせん」にたとえています。読む力がある子はたくさん読みます。たくさん読むと、読む力がさらに伸びます。この循環が学年ごとに重なっていく、という考え方です。

逆に言えば、本を読まない理由が「読むこと自体がまだ大変だから」という子もいます。その場合、読書の量より先に、読む力の手助けが必要なこともあります。

02 研究とデータでわかっていること読書量と読解力は、どちらが先に影響する?

両方向です。小学1〜3年生では読む力の弱さが読書量の少なさにつながり、学年が上がると本をよく読むことがその後の読解力の伸びにつながっていました。

99本楽しみで読む読書と読む力の関係を調べた研究の数(乳幼児〜大学生、計7,669人。2011年のメタ分析)
13%→34%読書量で説明できた「言葉の力」の個人差。小学生13%、中学生19%、高校生30%、大学生34%(同上)
2,525人7歳から16歳まで読書と読む力を追いかけたフィンランドの子ども(1〜9年生。2020年)
約12時間/週米国の1万人超の研究で、認知テストの面で最も良かったとされる楽しみの読書の時間(2024年)

Mol & Bus(2011)[1]

99本の研究をまとめると、楽しみで読む読書の量は、読解力や、文字を正確に読む力・つづりの力と中〜強い関連がありました。読書量で説明できる言葉の力の個人差は、幼稚園までは12%、小学生13%、中学生19%、高校生30%、大学生34%と、学年が上がるほど大きくなっていました。読むのが苦手な子も、自分で楽しむ読書から得るものがあるようだ、と報告されています。

対象: 99本の研究(計7,669人。幼稚園児〜大学生) / 限界: 多くは関連を見た研究で、読書が原因だと直接示したものではありません。

Torppa ら(2020)[2]

1〜3年生では、読解力や読む速さが弱いと、その後の読書量が少なくなることが予測されました。それより上の学年では、楽しみの読書、特に本を読む頻度が増えると、その後の読解力が高くなることが予測されました。一方、デジタルでの読み物と読む力には負の関連がありました。

対象: フィンランドの2,525人を7歳から16歳まで追跡 / 限界: 同じ子の中での変化を見る方法ですが、実験ではありません。

Erbeli ら(2020)[3]

双子を比べる方法で調べると、影響の向きは「読解力→読書量」でした。読める子が多く読む、という向きです。この関係には、生まれ持った面と環境の面の両方が関わっていました。

対象: 米国フロリダ州の双子910人(4〜9年生、平均12.3歳) / 限界: 「読書量→読解力」の向きが無いと証明したわけではありません。

Mak & Fancourt(2020)[4]

7歳でほぼ毎日楽しみで本を読んでいた子は、性別や家庭環境などが似た子と比べて、11歳での多動・不注意の傾向が低く、思いやりのある行動が多いという関連がありました。研究者自身、関連の大きさは「控えめ」だと述べています。

対象: 英国の子ども8,936人(親の回答で、7歳時点で「毎日読む」は39%) / 限界: 読書の頻度は親の回答で、観察研究です。

Sun ら(2024)[5]

小さいころから長く楽しみの読書を続けてきた子は、家庭の経済状況などを考えに入れても、思春期の認知テストの成績が高く、心の不調の得点が低い関連がありました。週12時間ほどの読書が、認知の面で最も良い値だったと報告されています。

対象: 米国の大規模調査に参加した1万人超の思春期の子ども / 限界: 主に関連を見た研究です。12時間は目標値ではなく、この調査での傾向です。

03 まだわかっていないこと本を読ませれば、学力は必ず上がる?

そこまでは言えません。読書と読む力の関連ははっきりしていますが、読む力が先にある面も大きく、家庭で読書を増やしたときにどれだけ伸びるかは、まだはっきりしていません。

  • ここで整理した研究は、読書を勧めた効果をくじ引きで比べた実験ではない。
  • 電子書籍で本を読む場合と紙の本の違いは、上の研究では区別されていない。
  • マンガ・図鑑・ゲームの攻略本など、読み物の種類ごとの違いは十分わかっていない。
  • 日本の子どもを長く追いかけた同じような研究は、今回確認できなかった。

04 家庭で今日からできること本を読まない子に、親はどう関わればいい?

「読みなさい」と量を求める前に、読むのがつらくないかを確かめ、本が手に取りやすい時間と場所を作ることです。お金をかけずにできることから始められます。

1

読むのがつらそうでないか見てみる

一緒に1ページ声に出して読み、つかえ方や疲れ方を見ます。低学年では読む力の弱さが読書離れの入り口になりやすいためです。気になるときは担任の先生や、かかりつけの小児科・自治体の子育て相談窓口に相談しましょう。

目安 小学1〜3年生/1回5分

2

読み聞かせ・一緒に読む時間を続ける

99本の研究のまとめでは、まだ文字を読めない時期の読み聞かせは、その後の自分で読む読書へつながる流れの一部と考えられています。読めるようになった子とも、1ページずつ交代で読むなど、本を一緒に楽しむ時間を残しておくのも一つの方法です。

目安 幼児〜小学生/寝る前10分

3

本人に本を選ばせ、図書館を使う

好きな題材なら、図鑑や動物・スポーツの本でもかまいません。研究で読解力と結びついていたのは「本」を読む頻度でした。まず1冊、最後まで読める本を一緒に探します。

目安 全年齢/週1回の図書館

4

読む時間をスマホの時間から少し分ける

「寝る前の15分は本の時間」など、時間と場所を決めると続けやすくなります。読む内容は本人に任せ、感想は求めすぎないようにします。

目安 小学生〜高校生/1日15分から

読み聞かせの声の違いはAIの声の読み聞かせの記事、寝る前の画面については寝る前のスマホと睡眠の記事で整理しています。年齢別の画面時間の目安はこちらです。

05よくある質問

マンガや雑誌でも読書の効果はある?

フィンランドの研究では、読解力の伸びと特に結びついていたのは「本」を読む頻度でした。論文の題名も「どんな読書でもよいわけではない」としています。ただ、マンガ単独の効果を調べた研究ではありません。マンガをやめさせる理由にはならず、本への入り口として扱うのが無理のない考え方です。

タブレットやスマホで読むのは紙の本と同じ?

同じ研究では、デジタルでの読み物と読む力には負の関連がありました。ただ、要旨からは何をどう読んだかまではわからず、電子書籍で本を読むことと同じとは言えません。今の研究から言えるのは「本を読む時間」が大事そうだ、というところまでです。

もう中学生。今から読書を始めても遅い?

遅いとは言えません。99本の研究をまとめた分析では、読書量と言葉の力の結びつきは、学年が上がるほどむしろ強くなっていました。また読むのが苦手な子も、自分で楽しんで読む読書から得るものがあるようだ、と報告されています。

読書が好きにならないのは親のせい?

そうとは言えません。双子の研究では、読書量と読解力の関係には生まれ持った面と環境の面の両方が関わっていました。読む力が育つと自然に読む量が増える面も大きいので、親が責任を感じすぎる必要はありません。

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出典

  1. Mol, S. E., & Bus, A. G. (2011). To read or not to read: A meta-analysis of print exposure from infancy to early adulthood. Psychological Bulletin, 137(2), 267-296. https://doi.org/10.1037/a0021890
  2. Torppa, M., Niemi, P., Vasalampi, K., Lerkkanen, M.-K., Tolvanen, A., & Poikkeus, A.-M. (2020). Leisure Reading (But Not Any Kind) and Reading Comprehension Support Each Other: A Longitudinal Study Across Grades 1 and 9. Child Development, 91(3), 876-900. https://doi.org/10.1111/cdev.13241
  3. Erbeli, F., van Bergen, E., & Hart, S. A. (2020). Unraveling the Relation Between Reading Comprehension and Print Exposure. Child Development, 91(5), 1548-1562. https://doi.org/10.1111/cdev.13339
  4. Mak, H. W., & Fancourt, D. (2020). Longitudinal associations between reading for pleasure and child maladjustment: Results from a propensity score matching analysis. Social Science & Medicine, 253, 112971. https://doi.org/10.1016/j.socscimed.2020.112971
  5. Sun, Y.-J., Sahakian, B. J., Langley, C., et al. (2024). Early-initiated childhood reading for pleasure: associations with better cognitive performance, mental well-being and brain structure in young adolescence. Psychological Medicine, 54(2), 359-373. https://doi.org/10.1017/S0033291723001381