寝る前のスマホ・動画は子どもの睡眠にどう影響する?研究でわかっていること

寝る前にスマホや動画をやめさせようとすると、ぐずったり怒ったりして、結局根負けしてしまう。そんな親は少なくありません。就寝前のスクリーン利用は、子どもの睡眠時間を縮め、寝つきを遅らせる関連が、複数の研究で繰り返し確認されています。
3行でわかる
- 学童期・思春期を対象にした67件のレビューのうち、90%の研究でスクリーン利用と睡眠への悪影響の関連が見られました(2015年)。
- 3〜5歳の子どもは、寝る前のスマホ画面程度の弱い光でも、眠気をつくるホルモンが平均85%抑えられることが実験でわかりました(2022年)。
- 0〜7歳を対象にしたメタ分析では、1日2時間以上のスクリーン利用で睡眠不足のリスクが2倍以上になる関連が見られました(2020年)。
01結論から言うと
就寝前のスマホ・動画の利用は、子どもの睡眠時間を縮め、寝つきを遅らせる方向に働くことが、複数の研究で繰り返し確認されています。
多くの研究は「使った子・使わなかった子」を比べた関連を見たもので、画面を見たこと自体が唯一の原因と断定はできません。
ただし、寝る前の光が眠気をつくるホルモン(メラトニン)を強く抑えることは、実験でも確認されています。関連の裏にある仕組みの一端は、すでに説明がついています[2]。
02研究とデータでわかっていること
就寝前にスマホや動画を見る習慣がある子どもほど、睡眠時間が短く、寝つきも遅くなる傾向が、世界中の研究で一貫して報告されています。
Hale・Guan(2015)[1]
1999年〜2014年初めに発表された67件の研究をレビューしたところ、90%の研究でスクリーン利用と睡眠への悪影響の関連が見られました。寝る前に携帯機器を習慣的に使う子どもは、睡眠時間が約45分短い傾向がありました。
対象: 世界各地の学童期・思春期の子どもを調べた67件の研究のレビュー / 限界: ほとんどが関連を見た研究で、原因と結果の向きまでは確認されていません。
Hartstein ら(2022)[2]
就寝1時間前に明るさの異なる光を1時間見せる実験をしたところ、スマホ画面程度の弱い光(5〜40ルクス)でも、平均77.5%、全体では平均85.4%、眠気をつくるホルモン(メラトニン)が抑えられました。
対象: 米国の3〜5歳36人を対象にしたランダム化実験 / 限界: 実験室での1回きりの測定で、毎日の生活での積み重なった影響を調べたものではありません。
Li ら(2020)[3]
乳幼児を対象にした23件の研究のメタ分析では、1日1時間以上のスクリーン利用で、睡眠が短いことと関連が見られました(関連の強さ2.28倍)。
対象: 0〜7歳を対象にした23件の研究のメタ分析(系統的レビュー80件のうちの一部) / 限界: 多くが親の回答による調査で、動画・ゲームなどスクリーンの種類は区別されていません。
03まだわかっていないこと
動画・ゲーム・AIとの会話など、スクリーンの「中身」によって影響の大きさが変わるのかは、まだ十分にわかっていません。
- 動画視聴・ゲーム・チャットなど、内容によって睡眠への影響がどう変わるか
- 利用時間の長さと、画面の光の強さ、どちらがより強く影響しているか
- 日本の子どもを対象にした大規模な研究(今ある研究の多くは欧米が中心)
- 何年も続けた場合の、長期的な影響
04家庭で今日からできること
寝る1時間前にスマホを置き場所に戻し、寝室に画面のある機器を置かないことが、研究から見た基本の対策です。
寝る1時間前に、スマホ・タブレットを「おやすみ」させる
リビングなど寝室以外に置き場所を決め、そこで充電します。親も一緒に置くと、子どもも納得しやすくなります。
目安 全年齢
寝室にテレビ・タブレットを置かない
寝室に画面のある機器があるだけで睡眠が短くなる関連が報告されています。使う場所をリビングなどに限定しましょう。
目安 全年齢
寝る前に使うときは、画面を暗くし静かな内容にする
ゲームより、絵本の読み聞かせ動画など刺激の少ないものを選ぶと、気持ちが落ち着きやすくなります。
目安 3歳〜
寝る前の「スマホの代わり」を1つ決めておく
絵本・雑談・軽いストレッチなど、5分でできる習慣を先に決めておくと、スマホをやめさせる場面でのぐずりが減りやすくなります。
目安 全年齢・5分
05よくある質問
寝る前の動画やゲームは何分までならいいの?
研究では「何分までなら安全」という明確な境界線は示されていません。ただし1日2時間以上のスクリーン利用で睡眠不足のリスクが2倍以上になる関連が報告されているため(0〜7歳、2020年)、就寝前の利用時間はできるだけ短くするのが無難です。
寝る前にアニメや動画を見せると寝つきが悪くなるって本当?
3〜5歳を対象にした実験では、寝る前の光がスマホ画面程度の明るさでも、眠気をつくるホルモン(メラトニン)が平均85%抑えられることがわかりました(2022年)。見ている内容よりも、光そのものが眠気を妨げている可能性があります。
寝室にテレビを置いているだけでも良くないの?
使っていなくても、寝室にテレビなど画面のある機器があるだけで睡眠時間が短くなる関連が報告されています(2015年)。使う場所をリビングなど寝室以外に限定するのがおすすめです。
出典
- Hale, L., & Guan, S. (2015). Screen time and sleep among school-aged children and adolescents: A systematic literature review. Sleep Medicine Reviews, 21, 50-58. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4437561/
- Hartstein, L. E., Diniz Behn, C., Akacem, L. D., Stack, N., Wright, K. P., & LeBourgeois, M. K. (2022). High sensitivity of melatonin suppression response to evening light in preschool-aged children. Journal of Pineal Research, 72(2), e12780. https://doi.org/10.1111/jpi.12780
- Li, C., Cheng, G., Sha, T., Cheng, W., & Yan, Y. (2020). The relationships between screen use and health indicators among infants, toddlers, and preschoolers: A meta-analysis and systematic review. International Journal of Environmental Research and Public Health, 17(19), 7324. https://doi.org/10.3390/ijerph17197324