きょうだいげんか、親はどう声をかける?「どっちが悪いの」より「次はどうする?」が効く理由

きょうだいげんかが毎日のように続くと、親のほうが先に疲れてしまいます。「どっちが先にやったの?」と聞いても、言い合いが長引くだけということも多いはずです。研究では、親が審判になって白黒をつけるより、子ども同士が話し合えるよう手伝う「仲介」という関わり方が試されてきました。
3行でわかる
- 親が「仲介」のやり方を学んだ家庭では、子どもが歩み寄る解決をより多く使うようになった(5〜10歳の子がいる48家庭の無作為化試験)。
- けんかが解決しやすいのは、過去の責め合いより「これからどうするか」を話したとき。両方の希望を満たす最初の提案が、妥協につながっていた。
- ただし研究の数はまだ少なく、けんかの回数そのものが減るかははっきりしない。叩くなどの攻撃は、軽く見ずにその場で止める。
01 結論から言うときょうだいげんかに、親はどう関わればいい?
親が裁くより、子ども同士の話し合いを手伝う「仲介」が有望です。親が仲介を学んだ家庭では、子どもが歩み寄る解決を多く使うようになりました。ただし研究はまだ少なめです。
ここでいう仲介は、親が中立の立場のまま、子どもの話し合いの進め方を手伝う関わり方です。どちらが悪いかを親が決めるのではありません。それぞれの言い分と気持ちを聞き、相手の気持ちに気づけるよう助け、解決策は子ども自身に考えさせます。
もう1つ研究されているのが、行動を整える方法です。仲よくできた場面をほめるなど、望ましい関わりを増やすことをねらいます。どちらの方法がより優れているかは、今のところ決着がついていません[1]。
きょうだいの比べ方や接し方の差については、きょうだいを比較すると自己肯定感は下がる?ときょうだいへの接し方の違いの記事でまとめています。
02 研究とデータでわかっていること親の関わり方で、きょうだいげんかは変わる?
変わる可能性があります。親向けプログラムの無作為化試験8本をまとめたメタ分析では、きょうだいの関わりへの効果は大きめでした。ただし推定の幅が広く、確かさはまだ中くらいです。
Leijtenら(2021)[1]
きょうだいの関わりを良くするための親向けプログラムを調べた無作為化試験8本をまとめると、効果量は0.85(95%信頼区間0.27〜1.43)でした。内訳は、行動を整える方法4本、仲介3本、両方を組み合わせたもの1本です。
対象: 無作為化試験8本(効果量136個) / 限界: 著者ら自身が「研究の数・規模・頑健さが、ほかの家族支援の研究に比べて大きく遅れている」と述べている。推定の幅も広い。
Smith & Ross(2007)[2]
親が仲介の手順を学んだ家庭では、普段どおりに対応した家庭に比べて、子どもが建設的な解決のしかたをよく使い、歩み寄ることが多かったと親が報告しました。観察でも、子どもだけで話し合うときのとげとげしさが少なく、きょうだいの立場をよりよく理解していました。
対象: 5〜10歳の子がいる48家庭(無作為に2群へ) / 限界: 規模が小さく、親の報告も含まれる。
Siddiqui & Ross(2004)[3]
仲介を学んだ母親の家庭では、子どもが理由を説明したり、気持ちを話したり、相手の動機を理解したりすることが多くなりました。仲介は、特に下の子が自分で解決に関われるよう後押ししていました。
対象: 5〜8歳の子がいる家庭 / 限界: 短期の結果で、長く続く効果は確かめられていないと著者らが書いている。
Rossら(2006)[4]
きょうだいに続いているけんかを解決してもらう場面を観察すると、妥協に至ったのは、両方の希望を満たす最初の提案があり、先の計画を話し、反対が少ないときでした。責め合いと反対ばかりで計画の話が少ないと、解決しませんでした。
対象: 4〜12歳のきょうだい64組(83%が欧州系アメリカ人) / 限界: 観察研究で、声かけを試した実験ではない。
Liu & Rahman(2022)[5]
子どもへの応答や支えが多い「権威ある子育て」は、きょうだいげんかの少なさと小さな関連(r = −0.201)がありました。一方で、その時々で対応が変わる子育て(r = 0.364)や放任(r = 0.389)は、けんかの多さと中程度の関連がありました。
対象: 16研究・計1万4,356人(中国語・英語の文献) / 限界: 相関の研究で、子育てがけんかの原因とまでは言えない。地域や年齢で結果に差があった。
Buistら(2013)[6]
きょうだい間の対立が少ないほど、不安・落ち込みや、攻撃的な行動などの問題が少ない関連がありました。この関連は、きょうだいの仲のよさより対立の方が強く、思春期より子ども期で強めでした。
対象: 34研究・計1万2,257人のメタ分析 / 限界: 相関の研究。
Tuckerら(2013)[7]
過去1年にきょうだいから攻撃(からかい・物を壊す・叩くなど)を受けた子は、心の不調が強い傾向がありました。友だちからの攻撃とは別に、きょうだいからの攻撃も心の不調と関連していました。
対象: 米国の全国調査3,599人(0〜9歳は保護者、10〜17歳は本人が回答) / 限界: 一時点の調査で、因果関係はわからない。
03 まだわかっていないこと声かけを変えれば、けんかは減る?
けんかの回数そのものが減るかは、まだはっきりしていません。きょうだいの仲を良くする効果が見られた研究でも、対立そのものには効果がなかった例があります。
- 学齢期の子ども向けの介入をまとめた系統的レビューでは、見つかった研究が5本しかなく、まとめて計算(メタ分析)できませんでした。仲の良さを調べた3本のうち、改善したのは2本です[8]。
- 小学5年生と、その下の2〜4年生のきょうだいが参加した174家庭の試験では、きょうだいの良い関わりや子どもの自制心は伸びました。一方で、きょうだいげんかには効果が見られませんでした(実施直後の測定)[9]。
- 仲介と、行動を整える方法のどちらが優れているかは決着していません[1]。
- 今回整理した介入研究に日本の家庭を対象にしたものはなく、同じ結果になるかは確かめられていません。
- 何年も先まで効果が続くかを追った研究は、ほとんどありません。
04 家庭で今日からできることきょうだいげんかのとき、親はなんと声をかける?
「どっちが悪いの?」と裁く代わりに、一人ずつ気持ちを聞き、「次はどうする?」と子どもに案を出させましょう。叩くなどの攻撃は、話し合いの前にまず止めます。
叩く・物を壊すは、まず止めて離す
攻撃が出ているときは話し合いより先に、その場で止めて距離を取らせます。きょうだいからの攻撃も心の不調と関連していたため、「よくあること」で済ませないでください。
目安 全年齢・その場ですぐ
「どっちが先?」より、一人ずつ言い分と気持ちを聞く
「〇〇は何が嫌だった?」「△△はどうしたかった?」と順番に聞き、親はどちらの味方もしません。聞いた気持ちを「取られたと思って悔しかったんだね」と言い直すと、相手の気持ちが伝わりやすくなります。
目安 5〜10歳・1回3〜5分
「次はどうしたらいい?」と、子どもに案を出させる
過去の責め合いではなく、これからの計画に話を向けます。「2人とも使えるやり方はある?」と聞き、両方の希望がかなう案を一緒に探します。決まった案は子どもに言ってもらいます。
目安 5〜10歳・案が出るまで少し待つ
落ち着いているときに家のルールを決め、対応をそろえる
ゲームの順番やおもちゃの貸し借りなど、よくもめる場面のルールを、けんかしていないときに子どもと決めておきます。その日の気分で対応が変わらないよう、大人同士でもそろえておきます。
目安 全年齢・週末に10分
うまくいった場面を言葉にする
「順番を決めて遊べたね」「貸してあげたんだね」と、仲よくできた場面に気づいて伝えます。けんかのときだけ親が関わる形を減らせます。
目安 全年齢・1日1回
けんかが激しく、けがや強いおびえが続くなど心配なときは、かかりつけの小児科や、自治体の子育て相談窓口に相談してください。けんかの終わらせ方は子どもの癇癪への対応の記事も参考になります。
05よくある質問
きょうだいげんかは、親が口を出さずに放っておいたほうがいい?
研究で試されているのは「放っておく」ことではなく、親が中立のまま話し合いの進め方を手伝う関わり方です。軽い言い合いで子ども同士が収められているなら見守ってよいですが、同じけんかを何度も繰り返す、いつも同じ子が言い負かされる、叩くなどの暴力がある場合は、親が間に入って話し合いを手伝いましょう。
上の子に「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから我慢して」と言うのはよくない?
きょうだいへの接し方の差(扱いの違い)が大きいほど、子どもの心の問題が多い傾向があることは、34研究のメタ分析でも示されています。けんかのたびに上の子だけに我慢をさせるより、どちらの言い分も同じように聞く方が、仲介の考え方に合っています。
何歳くらいから「仲介」の声かけは使える?
仲介の効果を確かめた研究の子どもは5〜10歳や5〜8歳でした。それより小さい子でのデータは少ないため、幼い子では親が気持ちを言葉にして補い、案もいくつか出して選ばせるなど、手伝う量を増やすのが現実的です。
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出典
- Leijten P, Melendez-Torres GJ, Oliver BR (2021). Parenting programs to improve sibling interactions: A meta-analysis. Journal of Family Psychology. https://doi.org/10.1037/fam0000833
- Smith J, Ross H (2007). Training parents to mediate sibling disputes affects children's negotiation and conflict understanding. Child Development. https://doi.org/10.1111/j.1467-8624.2007.01033.x
- Siddiqui A, Ross H (2004). Mediation as a method of parent intervention in children's disputes. Journal of Family Psychology. https://doi.org/10.1037/0893-3200.18.1.147
- Ross H, Ross M, Stein N, Trabasso T (2006). How siblings resolve their conflicts: the importance of first offers, planning, and limited opposition. Child Development. https://doi.org/10.1111/j.1467-8624.2006.00970.x
- Liu C, Rahman MNA (2022). Relationships between parenting style and sibling conflicts: A meta-analysis. Frontiers in Psychology. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2022.936253
- Buist KL, Deković M, Prinzie P (2013). Sibling relationship quality and psychopathology of children and adolescents: a meta-analysis. Clinical Psychology Review. https://doi.org/10.1016/j.cpr.2012.10.007
- Tucker CJ, Finkelhor D, Turner H, Shattuck A (2013). Association of sibling aggression with child and adolescent mental health. Pediatrics. https://doi.org/10.1542/peds.2012-3801
- Tucker CJ, Finkelhor D (2017). The State of Interventions for Sibling Conflict and Aggression: A Systematic Review. Trauma, Violence, & Abuse. https://doi.org/10.1177/1524838015622438
- Feinberg ME, Solmeyer AR, Hostetler ML, Sakuma KL, Jones D, McHale SM (2013). Siblings are special: initial test of a new approach for preventing youth behavior problems. Journal of Adolescent Health. https://doi.org/10.1016/j.jadohealth.2012.10.004


