心と親子関係

子どもの癇癪(かんしゃく)への対応。研究でわかっていること

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わかっている度 ★★☆ 中研究3本を整理
Children are engaged in a playful activity surrounded by various building blocks and toys, creating imaginative scenes on a soft carpet in a
Photo: Shixart1985 / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品・教材の紹介はしていません。出典は末尾)。

スーパーの床に寝転がって泣き叫ぶ、怒ると物を投げる。子どもの癇癪に、その場でどうしていいかわからず消耗する親は少なくありません。研究では、癇癪は多くの子どもに見られる発達の一部で、頻度は年齢とともに自然に減っていくとわかっています。関わり方によって変わる部分もあります。

3行でわかる

  1. 癇癪を毎日のように起こす子どもの割合は1〜2歳ごろにピークを迎え、3〜5歳にかけて下がっていくと、861人を追跡した研究でわかっています(2022年)。
  2. 一方で、1回あたりの癇癪の長さは年齢とともにむしろ延びる傾向があり、1歳では短時間で終わる子が多いのに対し、5歳では長く続く子が増えます。
  3. 気持ちを言葉にして受け止めるような関わり方は、子どもの問題行動の少なさと小〜中程度の関連があると、29件の研究をまとめたメタ分析でわかっています(2023年)。

01結論から言うと

癇癪は多くの子どもに見られる発達の一部で、頻度は年齢とともに自然に減っていきます。気持ちを言葉にして受け止める関わりは、問題行動の少なさと関連があるとわかっています。

「うちの子だけひどいのでは」と感じる親は多いですが、研究では1〜2歳児の1割前後が毎日のように癇癪を起こしており、特別なことではありません。

また、癇癪そのものをなくすことよりも、どう受け止めるかに注目した研究が増えています。叱って抑え込む対応の効果を直接検証した研究は、今回の調査では見つかりませんでした。

02研究とデータでわかっていること

癇癪の「頻度」は幼児期前半にピークを迎えて減っていく一方、「1回の長さ」は年齢とともに延びる傾向があります。

10〜12%毎日のように癇癪を起こす1〜2歳児の割合(オランダ・861人、2022年)
2〜5%同じ調査での3〜5歳児の割合。年齢とともに下がる傾向(2022年)

Van den Akker・Hoffenaar・Overbeek(2022)[1]

1〜5歳の861人を追跡した研究です。癇癪を毎日のように起こす子の割合は、1〜2歳で10〜12%だったのに対し、3〜5歳では2〜5%まで下がりました。一方、1回の癇癪が6〜10分以上続く子の割合は、1歳では27%でしたが、5歳では47%まで増えました。また「叫ぶ・足を踏み鳴らす」などの怒り、「泣く・転がる」などの苦悩、「蹴る・叩く・物を投げる」などの攻撃性、「頭を打つ・息を止める」などの自分を傷つける行動の4つの要素に分けて分析したところ、攻撃性や自分を傷つける行動が目立つタイプの癇癪ほど、その後の行動面・情緒面の問題との関連が強いという結果でした。

対象: オランダの1〜5歳児861人(追跡時202人) / 限界: 親の報告にもとづく調査で、海外の家庭が対象のため日本にそのまま当てはまるとは限りません。

Zahl-Olsenら(2023)メタ分析[2]

子どもの感情に寄り添い、気持ちを言葉にして受け止めるような、感情を重視した親向けの関わり方(感情コーチング)に関する33件の研究、1,903人分のデータをまとめたメタ分析です。こうした関わりを学んだ親の子どもでは、乱暴な行動などの「外に向かう問題」が小〜中程度減る関連が見られました(効果量0.31、半年〜1年後の追跡では0.42)。不安・落ち込みなど「内に向かう問題」でも同程度の関連がありました(効果量0.25)。

対象: 欧米中心の33研究・1,903人 / 限界: 76%の研究でプログラムの開発者自身が著者に含まれており、効果が良く出やすい方向のバイアスがある可能性があります。

Belden・Thomson・Luby(2008)[3]

3〜5歳11か月の未就学児279人を対象にした米国の研究です。心の健康面で問題のなかった子どもたちの癇癪は、平均すると1回あたり11分48秒続いていました。癇癪の長さそのものより、頭を打つ・自分を叩くといった自分を傷つける行動が繰り返し見られるかどうかが、臨床的な問題との関連が強いと報告されています。

対象: 米国セントルイス都市圏の3〜5歳児279人 / 限界: もともと心の健康面の比較を目的にした研究で、一般的な子ども全体の代表値とは限りません。

03まだわかっていないこと

どの対応が癇癪の頻度や長さを実際に減らすかを直接比べた研究はまだ少なく、効果の報告には偏りが混じっている可能性があります。

  • 紹介した研究はいずれも欧米の家庭が対象で、きょうだい構成や家庭文化が異なる日本の子どもにそのまま当てはまるかは分かっていません。
  • 感情コーチング的な関わりのメタ分析でも、多くの研究でプログラム開発者自身が関わっており、効果が過大に見積もられている可能性があります。
  • 「叱る」「無視する」など、他の対応方法と比べてどちらが効果的かを直接比較した研究は、今回の調査では見つかりませんでした。

04家庭で今日からできること

癇癪の最中は安全を確保しながら少し待ち、落ち着いてから気持ちを言葉にして受け止める関わりが、研究の傾向と合っています。

1

癇癪が始まったら、まず安全を確保する

近くに危ないものがあれば離し、頭を打つような場所でなければ無理に泣き止ませようとせず少し待ちます。

目安 1歳〜

2

気持ちに短く言葉をつける

「イヤだったね」「悲しかったね」と、子どもの気持ちを代わりに言葉にして伝えます。

目安 すべての年齢

3

落ち着いてから、短く振り返る

癇癪の最中ではなく、落ち着いたあとに「さっきは〜で嫌だったんだね」と一緒に振り返ります。

目安 3歳〜

4

攻撃的・自分を傷つける行動が目立つときは専門家に相談する

頭を打つ・物を投げるといった行動が繰り返し目立つ場合は、かかりつけの小児科や自治体の子育て相談窓口に相談できます。

目安 気になったとき

05よくある質問

癇癪はいつまで続きますか?何歳ごろ治まりますか?

癇癪を毎日のように起こす子どもの割合は、1〜2歳ごろにピークを迎え、3〜5歳にかけて減っていく傾向が研究で示されています。ただし1回の長さはむしろ年齢とともに延びる場合があるとわかっています。

癇癪が起きたとき、叱ったほうがいいですか?

研究では、気持ちを言葉にして受け止める関わり方が、問題行動の少なさと関連していました。叱ることそのものの効果を調べた研究は、今回の調査では見つかりませんでした。

癇癪中に頭を打ったり物を投げたりするのが心配です

研究では、頭を打つ・物を投げるなど攻撃的・自分を傷つける行動が目立つ癇癪のタイプほど、その後の行動面の問題との関連が強いと報告されています。気になるときは、かかりつけの小児科や自治体の子育て相談窓口に相談できます。

出典

  1. Van den Akker, A. L., Hoffenaar, P. J., & Overbeek, G. (2022). Temper Tantrums in Toddlers and Preschoolers: Longitudinal Associations with Adjustment Problems. Journal of Developmental & Behavioral Pediatrics, 43(7), 409-417. https://doi.org/10.1097/DBP.0000000000001071
  2. Zahl-Olsen, R., Severinsen, L., Stiegler, J. R., Fernee, C. R., Simhan, I., Rekdal, S. S., & Bertelsen, T. B. (2023). Effects of emotionally oriented parental interventions: a systematic review and meta-analysis. Frontiers in Psychology, 14, 1159892. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2023.1159892
  3. Belden, A. C., Thomson, N. R., & Luby, J. L. (2008). Temper tantrums in healthy versus depressed and disruptive preschoolers: defining tantrum behaviors associated with clinical problems. The Journal of Pediatrics, 152(1), 117-122. https://doi.org/10.1016/j.jpeds.2007.06.030