心と親子関係

子どもが学校に行きたがらない。不登校のはじまりに親ができることを、国のデータと研究で整理

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わかっている度 ★★☆ 中研究3本・公的資料3件を整理
誰もいない教室の机と椅子
Photo: Escuela16de17 / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品・教材の紹介はしていません。出典は末尾)。

朝になると「お腹が痛い」「行きたくない」。昨日までは普通に通っていた子が言い出すと、親は焦ります。休ませるべきか、背中を押すべきか。国の調査では、不登校の小中学生は令和6年度に35万人を超えました。めずらしいことではありません。はじまりの時期に親ができるのは、体の訴えを受け止めること、生活リズムを整えること、そして一人で抱えず早めに学校へ相談することです。

3行でわかる

  1. 令和6年度の不登校の小中学生は353,970人。学校が把握した事実で多いのは「やる気が出ない」「生活リズムの不調」「不安・抑うつ」だった。
  2. 腹痛や頭痛は、学校に行けなくなる子の最初の訴えになりやすい。背景として最も多く見つかったのは不安だった。
  3. 国の方針は「登校だけを目標にしない」と「早めにチームで支える」。親は理由を問い詰めず、学校に早めに相談するのが第一歩。

01 結論から言うと子どもが学校に行きたがらないとき、親はまず何をする?

子どもが学校に行きたがらないとき、親が最初にすることは、理由を問い詰めずに気持ちと体の訴えを受け止め、早めに担任へ相談することです。

行き渋りの理由は、本人にもうまく言葉にできないことがよくあります。「なんで行けないの」と聞かれるほど、答えられずに苦しくなる子もいます。

文部科学省の通知は、不登校の支援について「学校に登校する」という結果だけを目標にしないと書いています[3]。一方で、学業の遅れや進路のうえでの不利益にも気をつけるよう求めています。つまり「無理にでも行かせる」も「ずっと様子見」も、どちらか一方が正解ではありません。

同じ通知は、予兆への対応を含めた初期段階からの支援が必要だとも書いています[3]。行き渋りが見えた段階で、学校と一緒に考え始めてよいのです。

02 研究とデータでわかっていること不登校のきっかけには、どんなものが多い?

国の調査で学校が把握した事実は「やる気が出ない等の相談」30.1%が最多で、「生活リズムの不調」25.0%、「不安・抑うつ」24.3%が続きました(令和6年度、小中学校)。

353,970人不登校の小中学生(令和6年度)。小学生137,704人、中学生216,266人
153,828人そのうち新たに不登校になった小中学生(令和6年度)。9年ぶりに減った
25.0%「生活リズムの不調に関する相談があった」(令和6年度、小中学校、複数回答)
24.3%「不安・抑うつの相談があった」(令和6年度、小中学校、複数回答)

文部科学省の令和6年度の調査結果から、学校が把握した事実のうち主なものを、小学校と中学校で並べました[1]。学校が当てはまるものをすべて答えた数字です。

学校が把握した事実(複数回答)小学校中学校
学校生活に対してやる気が出ない等の相談30.1%30.1%
生活リズムの不調に関する相談26.2%24.3%
不安・抑うつの相談24.1%24.4%
親子の関わり方に関する問題の情報や相談16.9%9.9%
学業の不振や頻繁な宿題の未提出15.4%15.7%
いじめ被害を除く友人関係をめぐる問題11.8%14.1%
いじめの被害の情報や相談1.8%1.1%

小学校でも中学校でも、上位3つはほぼ同じ割合でした。小学校では「親子の関わり方」が中学校より多く、中学校では「友人関係」がやや多くなっています。

文部科学省(2025年公表・2026年1月一部修正)[1]

不登校の小中学生は353,970人で過去最多。ただし増加率は2.2%と前年度の15.9%から下がり、新たに不登校になった子は9年ぶりに減った。不登校の子の95.8%は、学校内外の専門家や担任から相談・指導を受けていた。

対象: 全国の国公私立小中学校の令和6年度の状況 / 限界: 学校が答えた調査で、子ども本人に理由を聞いたものではない。

Li ら(2021)[5]

学校に行けない子の体の症状を扱った148本の研究を整理した。腹痛・頭痛・吐き気・だるさなどが最初の訴えになることが多く、多くははっきりした体の病気では説明できなかった。背景として最も多く見つかったのは不安だった。

対象: 2020年5月までに出た論文148本 / 限界: 著者ら自身が、体の症状はよく見られるがまだよく理解されていないと書いている。

Maynard ら(2015)[4]

学校に行けない子への心理的な支援(認知行動療法など。考え方と行動を少しずつ変えていく方法)を調べた8本の研究をまとめた。出席は改善したが、不安の改善ははっきりしなかった。

対象: 学校に行けない小中高生435人 / 限界: 研究の数が少なく、証拠の質は「中程度」とされた。専門家による支援の研究で、家庭での関わりを調べたものではない。

Chockalingam ら(2023)[6]

親の側の要因と学校に行けないことの関係を調べた8本の研究を整理した。親自身の心の不調、家族の関係のあり方、母親の過保護の一部(会話の面)に関連があった。

対象: 子ども・思春期を対象にした8研究 / 限界: 関連を見た研究で、親が原因だと示したものではない。研究は少なく古いものが多い。

03 まだわかっていないこと行き渋りの段階で、休ませるのと促すのはどちらがいい?

行き渋りの段階で休ませるのと登校を促すのと、どちらがよいかを一律に決めた研究はありません。国の方針も両方の視点を示しています。

  • 国の調査の「把握した事実」は学校が答えたものです。子ども本人が感じている理由と同じとは限りません。
  • 心理的な支援で出席は改善しましたが、不安への効果ははっきりしませんでした[4]。どの子にどの支援が合うかは、まだ研究が足りません。
  • 親の関わり方と学校に行けないことの関係を調べた研究は8本と少なく、古いものが多いとされています[6]。
  • 不登校の増え方が鈍った理由について、国は複数の背景を挙げていますが、どれが効いたかは確かめられていません[1]。

04 家庭で今日からできること行き渋りが始まったら、家庭で何をすればいい?

行き渋りが始まったら、体の訴えを否定しない、眠りと朝のリズムを整える、早めに担任へ相談する、親も一人で抱えない、の4つから始めます。

1

「お腹が痛い」を否定せず、続くなら小児科へ

「仮病でしょ」と言わずに受け止めます。数日続くときは、かかりつけの小児科で体の病気がないか確かめてもらいます。

目安 小学生〜中学生/朝の数分

2

理由を問い詰めず、気持ちを聞く

「なんで?」より「朝つらそうだね」と様子を言葉にします。話さないときは無理に聞き出さず、話せる時を待ちます。

目安 夕方や寝る前など、落ち着いた時間

3

眠る時間と起きる時間をそろえる

国の調査で多かった「生活リズムの不調」に向けた一歩です。寝る前の画面は早めに切り上げ、休んだ日も起きる時間は大きく変えないようにします。

目安 毎日/休んだ日も

4

朝の様子を短くメモして、担任に早めに相談する

いつから、どの曜日に、どんな訴えがあったかを1行ずつ書いておくと、相談のときに伝えやすくなります。休みが続く前に、担任やスクールカウンセラーに相談します。朝の様子の記録を使うと、1タップで記録して曜日の傾向と相談用のまとめを作れます(記録は端末の中だけ)。

目安 1日1行/行き渋りが数日続いたら相談

5

親も一人で抱えない

COCOLOプランは、各教育委員会の相談窓口を整え、保護者の会などの情報を分かりやすく届けると掲げています。学校や自治体に、保護者向けの相談先を聞いてみてください。

目安 親がしんどいと感じたら

寝る前の画面と眠りの関係は寝る前のスマホ・動画は子どもの睡眠にどう影響する?で、思春期の会話が減ったときの考え方は思春期に入って子どもと会話が減ったで整理しています。保育園の登園しぶりは保育園の登園しぶり・分離不安はいつまで続く?をどうぞ。

気分の落ち込みや眠れない日が続く、食欲が大きく変わるなど、心や体の様子で気になることがあれば、かかりつけの小児科や自治体の子育て相談窓口に相談してください。

05よくある質問

子どもが学校に行きたくないと言ったら、休ませてもいい?

一律の正解はありません。文部科学省の令和元年の通知は、休む時期が休養や自分を見つめ直す積極的な意味を持つことがある一方、学業の遅れや進路のうえでの不利益にも留意するよう書いています[3]。休むかどうかは子どもの様子を見ながら、担任と相談して決めるのが安心です。

朝だけお腹や頭が痛いと言うのは仮病?

仮病と決めつけないほうがよいです。148本の研究を整理したレビューでは、腹痛や頭痛などの体の症状が、学校に行けなくなる子の最初の訴えになることが多く、背景として最も多く見つかったのは不安でした[5]。続くときは、かかりつけの小児科で体の病気がないか確かめてもらいましょう。

学校に行き渋りを相談するなら、どこに?

まず担任です。学校にはスクールカウンセラーや養護教諭もいます。国のCOCOLOプランは、小さなSOSを教師・スクールカウンセラー・養護教諭などがチームで受け止めることや、保護者向けに教育委員会の相談窓口や保護者の会の情報を届けることを掲げています[2]。

不登校の子どもは増えている?

文部科学省の調査では、令和6年度の不登校の小中学生は353,970人で過去最多でした。ただし増加率は小中学校全体で2.2%と前年度の15.9%から下がり、新たに不登校になった子は153,828人で9年ぶりに減りました[1]。

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出典

  1. 文部科学省 (2025, 2026年1月16日一部修正). 令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果概要. https://www.mext.go.jp/content/20260305-mxt_jidou02-100002753_3.pdf
  2. 文部科学省 (2023). 誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン). https://www.mext.go.jp/content/20230418-mxt_jidou02-000028870-cc.pdf
  3. 文部科学省 (2019). 不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)令和元年10月25日. https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155.htm
  4. Maynard BR, Brendel KE, Bulanda JJ, Heyne D, Thompson AM, Pigott TD (2015). Psychosocial Interventions for School Refusal with Primary and Secondary School Students: A Systematic Review. Campbell Systematic Reviews, 11(1), 1-76. https://doi.org/10.4073/csr.2015.12
  5. Li A, Guessoum SB, Ibrahim N, Lefèvre H, Moro MR, Benoit L (2021). A Systematic Review of Somatic Symptoms in School Refusal. Psychosomatic Medicine. https://doi.org/10.1097/PSY.0000000000000956
  6. Chockalingam M, Skinner K, Melvin G, Yap MBH (2023). Modifiable Parent Factors Associated with Child and Adolescent School Refusal: A Systematic Review. Child Psychiatry and Human Development. https://doi.org/10.1007/s10578-022-01358-z