心と親子関係

保育園の登園しぶり・分離不安はいつまで続く?研究でわかっていること

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わかっている度 ★★☆ 中研究3本を整理
Entrance to Children's Fairyland
Photo: Wordworking / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品・教材の紹介はしていません。出典は末尾)。

入園したばかりの子が、毎朝泣いて離れない。慣れてきたはずなのに、急にまた行き渋る日が増えた。そんな経験をした親は少なくありません。研究では、分離不安は発達の自然な一部で、多くの子は保育に通ううちに少しずつ落ち着いていくとわかっています。ただし、体の中のストレス反応が元に戻るまでには、思ったより時間がかかることを示す研究もあります。

3行でわかる

  1. 分離不安は生後1年の終わりごろから現れ、1〜2歳の間にピークを迎え、そのあとは年齢とともに落ち着いていく発達の自然な流れだと整理されています。
  2. 保育再開後に苦痛を示した子どもは約3割、落ち着くまでの平均日数は登園7.7日というオランダの694組を対象にした調査があります(2021年)。
  3. 一方で、新しい保育施設に通い始めてからの10週間、ストレスホルモン(コルチゾール)の保育日の上昇パターンは完全には元に戻らなかったという米国の研究もあります(2014年)。

01結論から言うと

登園しぶり・分離不安は多くの子どもに見られる発達の自然な反応で、年齢を重ねる中で、また保育に通ううちに少しずつ落ち着いていきます。落ち着くまでの期間には大きな個人差があります。

「うちの子だけ泣き止まない」と不安になる親は多いですが、研究では保育再開後に苦痛を示す子は3割前後で、特別なことではありません。

ただし、行動として泣かなくなったからといって、体の中のストレス反応まですぐに元通りになるとは限らないという報告もあり、「慣れた」の中身は一様ではなさそうです。

02研究とデータでわかっていること

保育再開後に苦痛を示す子どもは約3割で、落ち着くまでの日数は平均1週間ほどですが、個人差が大きいとわかっています。

29.1%保育再開時に苦痛を示した子どもの割合(オランダ・694組、2021年)
7.7日行き渋りが落ち着くまでの平均登園日数(同調査、2021年)

Thomasonら(2017)[1]

きょうだいの誕生後の上の子の不安・抑うつの経過を追跡した発達心理学の研究です。この研究の背景整理では、分離不安は生後1年の終わりごろから現れはじめ、1〜2歳の間にピークを迎え、その後は幼児期を通じて年齢とともに落ち着いていく発達の自然な流れだとまとめられています。

対象: 米国の第一子とその家族(調査自体はきょうだい誕生後の心理的な変化を主題にしたもの) / 限界: 分離不安そのものを主目的にした調査ではなく、既存の知見の整理として記載されています。

de Vetら(2021)[2]

保育施設の休止期間明けに再登園した、平均月齢27.2か月(6〜52か月)の子ども694組の親を対象にしたオランダの調査です。再登園時に苦痛を示した子どもは29.1%、親自身が苦痛を感じたと答えた割合は31.6%でした。行き渋りが落ち着くまでの日数は平均7.7登園日でしたが、質問票に回答した時点(再開から12.5〜17週後)でもまだ落ち着いていないと答えた親が22名いました。年齢が低い子どもほど、また親自身の分離不安が強いほど、子どもの苦痛も強くなる関連が見られました。

対象: オランダの子ども694組(平均27.2か月) / 限界: 親の回答のみに基づく振り返り調査で、苦痛が少ない家庭の親ほど回答しやすい傾向があった可能性があります。

Bernardら(2014)[3]

大学附属の保育施設に通い始めた1.2か月〜8歳(平均3.27歳)の子ども168人を対象に、米国で行われた研究です。保育施設に通い始めてから10週間にわたり、保育日のストレスホルモン(コルチゾール)の午前から午後にかけての上昇パターンを追跡したところ、10週間を通じてこの上昇パターンは続き、完全には元の生活リズムのパターンに戻りませんでした。

対象: 米国の未就学児中心168人 / 限界: ストレスホルモンの変化を見た研究で、行動面の落ち着きや子どもの主観的な苦痛とは別の指標です。

03まだわかっていないこと

行動として落ち着いて見えることと、体の中のストレス反応が元に戻ることは、必ずしも同じタイミングで起きるとは限らないとわかっています。

  • 泣く・ぐずるなどの行動が落ち着いても、ストレスホルモンの変化は保育開始から10週間たっても元のパターンに完全には戻らなかったという報告があり、「慣れたように見える」ことと体の反応の関係はまだよくわかっていません。
  • 行き渋りがどのくらいの期間で治まるかは個人差が非常に大きく、研究で示されている「平均日数」はあくまで目安です。
  • 紹介した研究はいずれも欧米が対象で、慣らし保育の制度や期間が異なる日本の保育園にそのまま当てはまるかは分かっていません。

04家庭で今日からできること

慣らし保育の期間は子どものペースに合わせ、送り出すときは親自身が落ち着いた様子で短く見送ることが助けになる可能性があります。

1

慣らし保育の期間は急がず、子どものペースに合わせる

数日で落ち着く子もいれば、数週間以上かかる子もいることを前提に、園とスケジュールを相談します。

目安 入園〜数週間

2

送り出すときは、できるだけ落ち着いた様子で短く見送る

親自身の不安が強いほど子どもの苦痛も強くなる関連が研究で示されています。長く後ろ髪を引かれる見送り方は避けます。

目安 すべての年齢

3

「いってきます」のあとは、保育者に様子を聞いて任せる

離れたあとの様子は保育者の方がよく見ています。迎えのときに様子を聞くだけでも安心材料になります。

目安 すべての年齢

4

数週間たっても悪化する様子があれば相談する

食欲や睡眠に強く影響するなど気になる様子が続く場合は、保育者やかかりつけの小児科、自治体の子育て相談窓口に相談できます。

目安 気になったとき

05よくある質問

分離不安・登園しぶりはいつまで続きますか?

発達としての分離不安は1〜2歳でピークを迎え、年齢とともに落ち着いていく傾向があります。保育再開後を調べた調査では、多くの子が登園1週間程度で落ち着いたという報告がありますが、個人差が大きいこともわかっています。

慣れたはずなのに、急にまた行き渋るようになりました

連休明けや生活リズムの変化のあとに、一時的に行き渋りが強くなることもあります。紹介した研究でも、落ち着くまでの期間には個人差が大きいとわかっています。無理に理由を聞き出そうとせず、同じように寄り添う対応を続けて大丈夫です。

保育者に任せるのが不安です。親にできることはありますか?

研究では、親自身の分離不安が強いほど、子どもの苦痛も強くなる関連が示されています。送り出すときはできるだけ落ち着いた様子で、短く見送ることが助けになる可能性があります。

出典

  1. Thomason, E., Oh, W., Volling, B. L., Gonzalez, R., & Yu, T. (2017). A Dyadic Approach to Understanding the Longitudinal Course of Firstborn Children's Internalizing Symptoms Across the Transition to a Sibling's Birth. Monographs of the Society for Research in Child Development, 82(3), 82-92. https://doi.org/10.1111/mono.12312
  2. de Vet, S. M., et al. (2021). Parent and Child Distress at Reopening of Childcare Centers After COVID-19 Closures. Frontiers in Psychology, 12, 718898. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2021.718898
  3. Bernard, K., Peloso, E., Laurenceau, J. P., Zhang, Z., & Dozier, M. (2015). Examining change in cortisol patterns during the 10-week transition to a new child-care setting. Child Development, 86(2), 456-471. https://doi.org/10.1111/cdev.12304