心と親子関係

子どもを褒めすぎると自己肯定感が下がる?研究でわかった褒め方の分かれ道

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わかっている度 ★★☆ 中研究3本を整理
A childs drawing, crayon on paper, child was 3 years old
Photo: My daughter Teresa / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品・教材の紹介はしていません。出典は末尾)。

自己肯定感を育てたくて、子どものことをたくさん褒めている。それなのに、ちょっと失敗しただけで落ち込んだり、新しいことを嫌がったりする。そんな様子に戸惑う親は少なくありません。研究では、褒め方の「大きさ」と「何を褒めるか」が、子どもの挑戦する気持ちを左右することがわかっています。

3行でわかる

  1. 自己肯定感が低いとされた子どもほど、大人から「incredibly」「perfect」のような大げさな褒め言葉を受けやすいとわかりました(実験・観察研究)。
  2. 大げさな褒め言葉は、自己肯定感が低い子どもの挑戦する気持ちをむしろ下げる方向に働きました。
  3. 能力ではなく努力や過程を褒めた方が、失敗後も粘って取り組む力が保たれやすいとわかっています。

01結論から言うと

大げさな褒め言葉は、特に自己肯定感が低い子どもには逆効果になることがあります。褒めるときは、能力そのものより努力や工夫した過程を具体的に褒める方が安全です。

「すごい」「完璧」のような大きな褒め言葉は、子どもを喜ばせたい気持ちから自然に出てきます。

ただし研究では、こうした大げさな褒め言葉を特に多く受けているのは、もともと自己肯定感が低いとされた子どもたちでした。

そして、大げさな褒め言葉を受けた自己肯定感の低い子どもは、新しい課題への挑戦をむしろ避けやすくなることがわかっています。

02研究とデータでわかっていること

自己肯定感が低い子どもほど大げさな褒め言葉を受けやすく、それが挑戦を避ける方向に働きました。能力を褒められた子どもは、失敗後に粘る力が弱まりました。

3つの研究大人は自己肯定感が低い子どもに大げさな褒め言葉を与えやすいと確認した実験・自然観察(2014年)
565人親の「過大評価」とナルシシズムの関連を1年半・4回にわたり追った子どもの数(7〜12歳、オランダ、2015年)
6つの実験「能力」への褒め言葉が挑戦する気持ちを弱めることを確認した実験の数(5年生対象、1998年)

Brummelmanら(2014)[1]

大人は、自己肯定感が低い子どもに対して、大げさな褒め言葉(「incredibly」「perfect」など)を特に与えやすいとわかりました。さらに別の実験では、大げさな褒め言葉を受けた自己肯定感の低い子どもは挑戦する気持ちが下がり、自己肯定感が高い子どもには逆の効果が見られました。

対象: オランダの子ども(実験・自然観察による3つの研究) / 限界: 「大げさ」の感じ方には個人差があり、すべての子どもに同じ効果とは限りません。

Mueller・Dweck(1998)[2]

「頭がいいね」のように能力を褒められた5年生は、努力を褒められた子どもと比べて、失敗後の課題への粘り・楽しさ・成績が低くなりました。能力を褒められた子どもほど、自分の能力を「変わらないもの」と考える傾向も強まりました。

対象: 米国の小学5年生、6つの実験 / 限界: 1回限りの褒め言葉を使った実験的な場面での結果で、長期間の家庭での褒め方を追ったものではありません。

Brummelmanら(2015)[3]

親が子どもを「人より優れている」と過大評価する度合いは、子どものナルシシズム傾向を予測しました。一方、親の温かさは子どもの自己肯定感を予測し、過大評価は自己肯定感を予測しませんでした。2つは別の道筋で育つという結果です。

対象: オランダの子ども565人・7〜12歳を6か月おき4回(1年半)追跡 / 限界: 相関関係を見た観察研究で、過大評価をやめれば必ず結果が変わるとまでは確認していません。

03まだわかっていないこと

研究の多くはオランダ・米国の子どもが対象で、日本の家庭にそのまま当てはまるかは分かっていません。どこからが「大げさ」かの境界線も明確ではありません。

  • 紹介した研究は主にオランダ・米国の子どもを対象にしたもので、言葉の文化差がある日本の家庭にそのまま当てはまるとは限りません。
  • 親の過大評価とナルシシズムの関連は、子どもが思春期・成人になった後までは、今回調べた研究では追えていません。
  • 「incredibly」「完璧」のような言葉を使わなくても、表情や声のトーンで大げさな褒め方になることはあり、そこまでは研究で区別されていません。

04家庭で今日からできること

能力そのものより、工夫した過程や具体的な行動を褒めます。自己肯定感が低そうに見える子には、特に飾らない言葉を選びます。

1

「すごい」より「ここを工夫したね」と具体的に伝える

何をどうしたから良かったのかを、一言添えて伝えます。

目安 すべての年齢

2

能力ではなく努力や過程を褒める言葉を選ぶ

「頭がいいね」ではなく「よく考えたね」「最後まで続けたね」と伝えます。

目安 5歳〜

3

「incredibly」「完璧」のような最大級の言葉を控える

良いところは十分に伝わるので、大きな形容詞を付け足す必要はありません。

目安 すべての年齢

4

挑戦をためらう様子が見えたら、結果より取り組んだこと自体を認める

「挑戦したこと」を先に認めてから、できた・できなかったを話します。

目安 すべての年齢

05よくある質問

子どもをたくさん褒めるのは良くないんですか?

たくさん褒めること自体が悪いわけではありません。研究で問題とされたのは「incredibly」「perfect」のような大げさな言葉で、特に自己肯定感が低い子どもには挑戦を避けさせる方向に働くことがわかっています。

「頭がいいね」「すごいね」と言ってはいけないのですか?

絶対に言ってはいけないわけではありませんが、研究では「能力」を褒められた子どもは失敗後に粘る力が弱まり、挑戦よりも成績を気にするようになりました。「よく考えたね」など、努力や過程を褒める言葉に替えると安全です。

自己肯定感が低いかどうかは、どうすればわかりますか?

簡単なテストで判定するものではありません。新しいことに挑戦するのをためらう、失敗を人一倍気にするなどの様子が見られる場合は、褒め方を具体的・過程重視に変えてみる価値があります。

出典

  1. Brummelman, E., Thomaes, S., Orobio de Castro, B., Overbeek, G., & Bushman, B. J. (2014). That's Not Just Beautiful—That's Incredibly Beautiful: The Adverse Impact of Inflated Praise on Children With Low Self-Esteem. Psychological Science, 25(3), 728-735. https://doi.org/10.1177/0956797613514251
  2. Mueller, C. M., & Dweck, C. S. (1998). Praise for Intelligence Can Undermine Children's Motivation and Performance. Journal of Personality and Social Psychology, 75(1), 33-52. https://doi.org/10.1037//0022-3514.75.1.33
  3. Brummelman, E., Thomaes, S., Nelemans, S. A., Orobio de Castro, B., Overbeek, G., & Bushman, B. J. (2015). Origins of Narcissism in Children. Proceedings of the National Academy of Sciences, 112(12), 3659-3662. https://doi.org/10.1073/pnas.1420870112