親のスマホ使用は子どもに影響する?「テクノフェアレンス」の研究でわかっていること

子どもと一緒にいるときにスマホの通知が気になってつい見てしまう。そんな自分に「子どもに悪い影響があるのでは」と不安になる親は少なくありません。この「テクノフェアレンス(技術による干渉)」について、研究はどこまでわかっているのでしょうか。
3行でわかる
- 親が気を取られて子どもとの関わりが減る「テクノフェアレンス」は、子どもの問題行動などとの関連が複数のメタ分析で確認されています。
- ただし関連の大きさはどれも小さめで、スマホの使用量そのものと子育ての質との直接的な関連は、研究によって一定していません。
- 問題は「スマホを使うこと」自体より「関わりが途切れること」と考えられ、因果の向きも一方向とは言い切れません。
01結論から言うと
親の「テクノフェアレンス」と子どもの問題行動などには小さな関連があります。ただしスマホの使用量そのものとの関連は一定していません。
「テクノフェアレンス」とは、親がスマホなどに気を取られて、子どもとのやりとりが途切れたり減ったりすることを指す言葉です。研究では、この「関わりの途切れ」が多い家庭ほど、子どもの問題行動や心の状態にわずかな関連が見られています。
一方で、「スマホを何分使ったか」という使用量そのものと子育ての質との関連を調べた大規模な研究では、関連は弱く一定していませんでした。次の章で詳しく見ていきます。
02研究とデータでわかっていること
複数のメタ分析で、親のテクノフェアレンスと子どもの問題行動・心の状態に、小さいながら一定の関連が確認されています。
Zhang, Zhang, Xiao, Cao, Chen, Li(2025)[1]
親がスマホなどに気を取られて子どもとの関わりが中断される「テクノフェアレンス」が多い家庭ほど、子どものスマホ・ゲームなどの使い方に問題が生じやすい関連が見られました(相関0.296)。両親ともに気を取られている場合、関連がより強くなりました。
対象: 53件の研究・子ども60,555人(平均13.84歳)をまとめたメタ分析 / 限界: ほとんどが「ある時点」だけを調べた研究で、どちらが先に起きたかまではわかりません。
Toledo-Vargas, Chong, Maddren, Howard, Wakefield, Okely(2025)[2]
子どもの前で親がスマホなどを使うことは、子どもの考える力(相関-0.14)、内向きの心配事(相関0.13)、外向きの問題行動(相関0.15)、人を思いやる行動(相関-0.08)と、わずかな関連がありました。いずれも効果は小さめでした。
対象: 10か国・21件の研究・子ども14,900人をまとめたメタ分析 / 限界: 運動発達や睡眠を調べた研究はまだなく、関連の大きさもすべて小さいものでした。
Deneault, Plamondon, Neville, Eirich, McArthur, Tough, Madigan(2024)[3]
9〜10歳のときに親のスマホへの気の取られ方を強く感じていた子どもは、その後の多動・不注意の傾向がやや強くなっていました。一方で、子どもの不安が強いほど、その後親のスマホへの気の取られ方を強く感じるようになる関連も見られ、どちらが原因かは一方向とは言えません。
対象: 子ども1,303人を3回追跡した縦断研究(9.7歳から) / 限界: 関連の大きさは小さく、子ども本人の感じ方の報告にもとづく調査です。
03まだわかっていないこと
スマホを使うこと自体より、親子の関わりが減ることが関係していると考えられますが、因果関係や「どの程度までなら大丈夫か」はまだ十分にわかっていません。
- 3,659人の親を対象にした研究(Modecki et al., 2020)[4]では、スマホの使用量そのものと子育ての質との直接的な関連は弱く、結果は一定していませんでした。むしろ「家族の時間がスマホに奪われているかどうか」が関係していると考えられています。
- 多くの研究は「ある時点」での関連を調べたもので、親のスマホ使用が先に子どもに影響するのか、子どもの状態が親のスマホ使用を増やすのか、両方向の関連が報告されています。
- 「1日何分までなら大丈夫か」という具体的な目安を示した研究はまだありません。
04家庭で今日からできること
スマホの使用量そのものより、子どもと過ごす時間に関わりが途切れないようにする工夫が大切です。
子どもと過ごす特定の時間だけ、スマホを置く場所を決める
食事中や一緒に遊んでいる間だけでも、スマホを手の届かない場所に置くだけで、気を取られる回数を減らせます。
目安 1日数回・各10〜20分
スマホを使うときは、一言声をかけてから
「ちょっとこれだけ見るね」と伝えるだけで、子どもが「無視された」と感じにくくなります。
目安 使う前に一言
自分を責めすぎない
研究でも、スマホの使用量そのものと子育ての質との関連は弱く、一定していません。時々のスマホ使用を過度に心配しなくても大丈夫です。
目安 -
05よくある質問
親がスマホを見ているだけで、子どもに悪い影響がありますか?
複数の研究で、親が気を取られて子どもとの関わりが減る「テクノフェアレンス」と、子どもの問題行動などとの間に、小さいながら一定の関連が見られています。ただしスマホを使うこと自体よりも、親子の関わりが減ることが関係していると考えられ、使用量と子育ての質との直接的な関連は弱く一定していないという研究もあります。
スマホを見る時間をどのくらいまで減らせばいいですか?
「1日何分まで」という具体的な目安を示した研究はまだありません。子どもと過ごす特定の時間だけスマホを置く場所を決めるなど、関わりが途切れやすい場面を減らす工夫が現実的です。
出典
- Zhang, J., Zhang, Q., Xiao, B., Cao, Y., Chen, Y., & Li, Y. (2025). Parental Technoference and Child Problematic Media Use: Meta-Analysis. Journal of Medical Internet Research, 27. https://doi.org/10.2196/57636
- Toledo-Vargas, M., Chong, K. H., Maddren, C. I., Howard, S. J., Wakefield, B., & Okely, A. D. (2025). Parental Technology Use in a Child's Presence and Health and Development in the Early Years: A Systematic Review and Meta-Analysis. JAMA Pediatrics. https://doi.org/10.1001/jamapediatrics.2025.0682
- Deneault, A. A., Plamondon, A., Neville, R. D., Eirich, R., McArthur, B. A., Tough, S., & Madigan, S. (2024). Perceived Parental Distraction by Technology and Mental Health Among Emerging Adolescents. JAMA Network Open, 7(8). https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2024.28261
- Modecki, K. L., Low-Choy, S., Uink, B. N., Vernon, L., Correia, H., & Andrews, K. (2020). Tuning into the real effect of smartphone use on parenting: A multiverse analysis. Journal of Child Psychology and Psychiatry, 61(8). https://doi.org/10.1111/jcpp.13282