子どもの写真をSNSに載せるリスクは?シェアレンティングの研究でわかっていること

子どもの写真や成長の記録をSNSに載せる「シェアレンティング」。悪気はなくても、投稿する親自身がプライバシーの侵害になりうると感じていることが研究でわかっています。一方で、子ども本人の気持ちを直接調べた研究はまだ多くありません。
3行でわかる
- イタリアの親405人への調査では、65.7%が子どもの写真をSNSに投稿した経験があり、71.4%は「プライバシーの侵害になりうる」と答えました(2024年)。
- シェアレンティングを扱った252件の研究のうち、子ども自身の意見を本格的に調べた研究は1割未満でした(2026年のレビュー)。
- 子どもは肯定的な投稿は歓迎する一方、同意なく恥ずかしい内容を載せられることには抵抗を感じると報告されています。
01結論から言うと
投稿する前に「本人ならどう感じるか」を考え、特に恥ずかしい内容は本人の同意を得ることが、研究から見た基本です。
「かわいい」「成長の記録を残したい」という気持ちから、子どもの写真をSNSに載せる親は多くいます。
イタリアでの調査では、約3人に2人の親が子どもの写真を投稿した経験があると答えました[1]。
同じ調査で、7割以上の親が「プライバシーの侵害になりうる」と考えていました[1]。わかっていながら投稿してしまう、という状況がうかがえます。
02研究とデータでわかっていること
投稿する親の多くが、プライバシーのリスクを認識しながらも投稿を続けています。子ども自身に同意を取っている親は多くありません。
Ferraraら(2024)[1]
イタリアの親405人のうち65.7%が子どもの写真をSNSに投稿した経験があり、71.4%がプライバシーの侵害になりうると考えていました。73.3%は、行き過ぎた投稿を子どもへのネグレクトや虐待にあたると感じていました。
対象: イタリアの親405人(母親331人・父親74人)へのアンケート / 限界: イタリア国内の調査で、高校卒業以上の学歴の層がやや多く含まれています。
Akay(2026)[2]
シェアレンティングに関する252件の研究を整理したところ、子ども自身の直接の意見を本格的に扱った研究は、全体の1割未満にとどまりました。
対象: 1992〜2025年に発表された英語の論文・レビュー252件 / 限界: 研究の多くが思春期の子どもを対象で、幼い子どもからの直接の声はほとんどありません。
Motevalliら(2025)[3]
親が子どもの情報をSNSに投稿する動機を整理したレビューでは、74%の親が「シェアしすぎている知り合いの親がいる」と回答し、10%は子どもの健康に関する情報まで投稿していました。
対象: 2019〜2024年に発表された21件の研究を整理したシステマティックレビュー / 限界: 対象になった研究の多くはSNS利用が活発な国の親で、日本の親にそのまま当てはまるとは限りません。
03まだわかっていないこと
子ども自身がシェアレンティングをどう感じているかを直接調べた研究はまだ少なく、将来への長期的な影響もわかっていません。
- 子ども本人に直接聞いた研究はまだ少なく、今ある研究の多くは親側の視点だけで分かっていることです。
- SNSに載った子ども時代の記録が、大人になってから本人にどんな影響を与えるかを長く追った研究は、まだありません。
- 何歳から「本人の同意」を確認すべきかという明確な基準は、研究で定まっていません。
04家庭で今日からできること
投稿前に本人の気持ちを考え、特定されやすい情報を避け、公開範囲を絞ることが、研究から見た基本の対策です。
投稿前に「本人ならどう感じるか」を考える
特に、恥ずかしい場面や、泣いている・困っている場面の写真は注意します。
目安 すべての年齢
話せる年齢になったら、載せていいか本人に聞く
「イヤ」と言われたら載せない、をルールにします。
目安 4〜5歳〜
顔・名前・通っている園や学校がわかる情報を一緒に載せない
居場所や個人が特定できる情報は、写真と切り離して管理します。
目安 すべての年齢
公開範囲を家族・友人だけに絞る
誰でも見られる設定を避けるだけでも、見知らぬ人に届くリスクは下がります。
目安 すべての年齢
05よくある質問
子どもの写真をSNSに載せるのはそもそもダメなことですか?
研究は「載せること自体がダメ」とは結論づけていません。ただし、イタリアの調査では7割以上の親が「プライバシーの侵害になりうる」と考えており、投稿前に本人の気持ちを考えることが大切だとわかっています。
子どもは親がSNSに写真を載せることをどう感じていますか?
子ども自身に直接聞いた研究はまだ少ないですが、ある研究では、子どもは肯定的な内容は歓迎する一方、同意なく恥ずかしい内容を載せられることには抵抗を感じると報告されています。
何歳から子どもの許可を取ればいいですか?
研究で明確な年齢の基準は決まっていません。話せる年齢になったら「載せていい?」と聞く習慣をつけておくと、本人の気持ちを確認しやすくなります。
出典
- Ferrara, P., Cammisa, I., Zona, M., Cimaroli, E., Sacco, R., Pacucci, I., Grimaldi, M. T., Scaltrito, F., Pettoello-Mantovani, M., & Corsello, G. (2024). The awareness of sharenting in Italy: a pilot study. Italian Journal of Pediatrics, 50, 226. https://doi.org/10.1186/s13052-024-01797-5
- Akay, O. (2026). Children's privacy, autonomy, and digital identity in sharenting research: a scoping review with bibliometric mapping. Frontiers in Psychology. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1845715
- Motevalli, S., Razak, R. A., Bailey, R. P., Madihie, A. B., Mehdinezhadnouri, K., & Pan, Y. (2025). Parents' Sharenting Behaviours: A Systematic Review of Motivations, Attitudes, Perceptions, and Impression Management Perspectives. F1000Research. https://doi.org/10.12688/f1000research.161540.2