安全・プライバシー

学校のタブレット・教育アプリ、子どもの個人情報は守られている?研究でわかっていること

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わかっている度 ★★☆ 中研究3本を整理
Computer Software Lab of Mangrove Institute
Photo: Bodimist / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品・教材の紹介はしていません。出典は末尾)。

GIGAスクール構想で、子どもたちは学校から配られたタブレットや教育アプリを日常的に使うようになりました。便利な一方で、どんな個人情報が集められているのかを親が把握しづらいという問題も指摘されています。

3行でわかる

  1. 子ども向けアプリ75,552個を対象にした34件の研究をまとめたレビューで、実際のデータ送信を調べた研究では67〜73%のアプリが子どもの個人データを第三者に送っていました。
  2. 学校で広く使われるGoogleの教育サービスをめぐっては、児童から保護者の同意なく位置情報や検索履歴を集めたとして、複数の米国の州やFTCから訴訟・制裁を受けています。
  3. 子ども向けサービスの利用規約は法律用語が多く理解しにくいものがほとんどで、わかりやすい簡易版を用意していたのは調査対象のうち1社のみでした。

01結論から言うと

学校のタブレットや教育アプリは、子どもの個人情報を十分に守れているとは言い切れず、保護者が気づきにくい形でのデータ収集が報告されています。

教育アプリの多くは無料や低価格で提供されますが、その裏で位置情報や閲覧履歴、音声データなどが集められ、広告関連企業を含む第三者に送られているケースが研究で確認されています。

学校で配布される端末やサービスであっても、民間企業が運営している以上、通常のアプリと同じようにデータ収集の対象になり得ることが、海外の訴訟事例からもわかります。

02研究とデータでわかっていること

子ども向けアプリの多くが個人データを第三者に送信しており、学校向けの大手サービスも訴訟や制裁を受けています。

67〜73%実際のデータ送信を調べた研究で、子どもの個人データを第三者に送信していたアプリの割合
1.7億ドル児童から保護者の同意なく個人情報を集めたとして、米国の企業がFTCとニューヨーク州に支払った制裁金(2019年)

Jibbら(2022)スコーピングレビュー[1]

子ども関連アプリを対象にした34件のコンテンツ分析研究、合計75,552個のアプリをまとめたレビューです。実際のデータ送信を技術的に調べた研究では、67〜73%のアプリがメールアドレス・位置情報・広告IDなどを第三者に送信していました。プライバシーポリシーが分かりにくい場所に隠されていたアプリの割合は、研究によって5〜100%(中央値63%)とばらつきがありました。

対象: 子ども関連アプリに関する34件の研究・75,552個のアプリ / 限界: 方法論の質は評価されておらず、識字・計算など教育アプリ以外も幅広く含まれています。

Krutka・Smits・Willhelm(2021)[2]

学校で広く使われるGoogleの教育サービスについて、データ収集の実態と訴訟事例を分析した論文です。Googleは2019年、13歳未満の子どもから保護者の同意なく個人情報を集めたとして、米連邦取引委員会とニューヨーク州司法長官に1.7億ドルの制裁金を支払いました。2020年にはニューメキシコ州やアリゾナ州も、児童の位置情報や検索履歴を同意なく集めたとしてGoogleを提訴しています。

対象: 米国の学校向けGoogleサービスの契約・訴訟資料の分析 / 限界: 米国の事例が中心で、日本の学校での契約条件や運用は異なる可能性があります。

Schnebleら(2021)[3]

主要なソーシャルメディア・モバイルサービス20種類以上の利用規約を分析した研究です。多くの規約は長い法律用語の文章で書かれ、子どもや保護者が内容を理解するのが難しい状態でした。調査対象のうち、わかりやすい簡易版の説明を用意していたのは1社のみでした。

対象: 主要なソーシャルメディア・モバイルサービス20種類以上(2019年時点、米欧中心) / 限界: 学校向け教育サービスではなく一般向けサービスが中心の分析です。

03まだわかっていないこと

日本の学校で配布されているタブレット・教育アプリのデータ収集の実態を、第三者が技術的に検証した研究は、今回確認した範囲では見つかりませんでした。

  • 紹介した研究は主に米国・欧州のアプリやサービスが対象で、日本の学校で使われる教育アプリ・端末に同じ傾向が当てはまるかは、今回確認した範囲ではわかっていません。
  • 学校という「断れない」環境でのデータ収集が、家庭で選ぶアプリと比べてどの程度問題が大きいかを直接比較した研究は見つかりませんでした。
  • 集められたデータが実際にどう使われているか(学習改善のみか、広告等に使われているか)は、企業の情報開示に頼らざるを得ず、外部からの検証が難しい領域です。

04家庭で今日からできること

学校配布の端末・アプリだからと安心しきらず、どんな情報が集められるかを確認し、学校に質問することも選択肢になります。

1

学校から配布される端末・アプリの利用規約やプライバシーに関する説明を一度確認する

全文を読み込まなくても、どんな情報を集めるかの項目だけ確認します。

目安 入学・端末配布時

2

子ども自身のアカウントで、位置情報・履歴の保存設定を確認する

「設定」から同期機能や履歴保存がオンになっていないか、できる範囲で確認します。

目安 小学生〜

3

気になる点は学校や教育委員会に質問してよいと知っておく

どんなサービスを使い、データがどう扱われるかは、保護者が質問できる情報です。

目安 すべての年齢

4

家庭で使うアプリも、学校のものと同じ目で選ぶ

無料だから・学習用だからと安心せず、他のアプリと同様にデータの扱いを確認します。

目安 すべての年齢

05よくある質問

学校から配られたタブレットだから、個人情報は安全だと考えていいですか?

研究では、学校向けのサービスであっても、民間企業が運営する以上、他のアプリと同様にデータ収集や第三者提供の対象になり得ることが報告されています。「学校配布だから安全」とは言い切れません。

具体的にどんな情報が集められる可能性がありますか?

紹介した研究では、メールアドレス、位置情報、検索履歴、閲覧したウェブサイト、広告用のID、場合によっては音声データなどが集められていた例が報告されています。

心配な場合、どこに相談すればいいですか?

まずは学校や教育委員会に、使っているサービスとデータの扱いについて質問することができます。重大な個人情報の取り扱いに疑問がある場合は、自治体の個人情報保護窓口に相談する方法もあります。

出典

  1. Jibb, L., Amoako, E., Heisey, M., Ren, L., & Grundy, Q. (2022). Data handling practices and commercial features of apps related to children: a scoping review of content analyses. Archives of Disease in Childhood, 107(7), 665-673. https://doi.org/10.1136/archdischild-2021-323292
  2. Krutka, D. G., Smits, R. M., & Willhelm, T. A. (2021). Don't Be Evil: Should We Use Google in Schools? TechTrends, 65(4), 421-431. https://doi.org/10.1007/s11528-021-00599-4
  3. Schneble, C. O., Favaretto, M., Elger, B. S., & Shaw, D. M. (2021). Social Media Terms and Conditions and Informed Consent From Children: Ethical Analysis. JMIR Pediatrics and Parenting, 4(2), e22281. https://doi.org/10.2196/22281