心と親子関係

きょうだいを比較すると自己肯定感は下がる?研究でわかっていること

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わかっている度 ★★☆ 中研究2本・メタ分析1件を整理
An underground passageway in Ikebukuro Station in Tokyo, Japan
Photo: George Alexander Ishida Newman / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品・教材の紹介はしていません。出典は末尾)。

「お兄ちゃんはできたのに」「下の子ばかり可愛がって」。きょうだいがいる家庭では、比べるつもりがなくても、つい差が出てしまう場面があります。研究では、きょうだいへの関わり方に差があること自体が、自己肯定感やきょうだい関係の質に関連しているとわかっています。

3行でわかる

  1. 親からの温かさ・敵意にきょうだい間で差があるほど、問題行動の差も大きくなる関連が、19件の研究をまとめたメタ分析で確認されています。
  2. 「自分だけ厳しく扱われている」と感じることは、ひいきの方向にかかわらず自己肯定感の低下と関連していました。
  3. ひいきされていると感じることは、きょうだい間の競争心を高め、関係の質を下げる方向に働くとわかっています。

01結論から言うと

きょうだいを比較したり、一方により厳しく・もう一方により温かく接したりする関わりは、子どもの自己肯定感の低下やきょうだい関係の悪化と関連があるとわかっています。

完全に同じように接することは、現実にはほとんどの家庭で難しいことです。年齢も性格も違うきょうだいに、まったく同じ関わり方をするのは不自然でもあります。

ただし研究で注目されているのは「差があること」そのものではなく、子どもが「自分はきょうだいより冷たく扱われている」「ひいきされている」と感じる度合いです。この感じ方が強いほど、自己肯定感や問題行動との関連が強くなっていました。

02研究とデータでわかっていること

親の差別的な温かさ・敵意はきょうだい間の問題行動の差と関連し、特に「敵意の差」と「反抗・攻撃的な行動の差」でその関連が強いとわかっています。

19件・215効果量親の差別的な扱いときょうだいの問題行動の差を調べた研究をまとめたメタ分析の規模(2024年)
708組親の差別的な扱いと自己肯定感・問題行動の関連を2〜3年追跡した、きょうだいペアの数(米国・13歳前後、2018年)

Eradusら(2024)メタ分析[1]

13の独立したサンプル・19件の研究、215の効果量をまとめたメタ分析です。親からの温かさ・敵意にきょうだい間で差があるほど、問題行動の差も大きいという関連が、全体として小さいながら有意に見られました。特に「敵意の差」は「温かさの差」より、「反抗・攻撃的な行動(外在化)の差」は「不安・落ち込みなど(内在化)の差」より関連が強いという結果でした。

対象: 13サンプル・19研究(欧米中心) / 限界: 相関関係を見た横断・縦断研究のまとめで、差別的な扱いをやめれば必ず改善するとまでは示していません。

Rolan・Marceau(2018)[2]

708組のきょうだいペアを2〜3年追跡した研究です。母親からの差別的な扱いを多く受けた年上のきょうだいほど、その後の反抗・攻撃的な行動が増える関連が見られました(b=0.24)。また自己肯定感は、問題行動と負の関連(年上でr=-0.24)があり、差別的な扱いの影響を和らげる・強める要因になり得ることが示唆されました。

対象: 米国の708組のきょうだい(調査開始時、年上平均13.5歳・年下平均12.1歳、94%が白人) / 限界: 同性・年齢差4年以内のペアに限った調査で、人種的な偏りもあります。

Steffgenら(2025)[3]

201組・402名のきょうだいを対象にしたドイツの調査です。「頑張ったときだけ認める」といった条件付きの関わりを受けていると、きょうだい間の競争心が高まり、「自分だけ不利に扱われている」という感じ方につながって、きょうだい関係の質を下げる方向に働くという結果でした。

対象: ドイツの思春期のきょうだい402名(年下平均12.2歳・年上平均15.3歳) / 限界: ある時点だけを調べた横断調査で、原因と結果の順番までは確認していません。

03まだわかっていないこと

研究の多くは欧米の家庭が対象で、日本の家庭にそのまま当てはまるかは分かっていません。どの程度の差が問題になるかの明確な基準もありません。

  • 紹介した研究はいずれも米国・ドイツの家庭が対象で、きょうだい文化や家族観が異なる日本にそのまま当てはまるとは限りません。
  • 多くは相関関係を見た研究で、「差をつけた扱いをやめれば自己肯定感が上がる」という因果関係までは確認されていません。
  • 「どのくらいの差」から影響が出始めるのかという明確な線引きは、今回調べた研究では示されていません。

04家庭で今日からできること

きょうだいを比べる言葉を避け、一人ひとりと個別に向き合う時間を意識的につくります。叱り方・褒め方が特定の子に偏っていないかも振り返ります。

1

「お兄ちゃんは〜なのに」のような比較する言葉を避ける

きょうだいの名前を出さず、その子自身の行動だけを見て伝えます。

目安 すべての年齢

2

一人ずつと短時間でも個別に過ごす時間をつくる

1日10分でも、その子だけと話す・遊ぶ時間を意識的に確保します。

目安 すべての年齢

3

きょうだいゲンカは、どちらか一方を先に決めつけずに双方の話を聞く

いつも同じ子を叱っていないか、1週間ほど振り返ってみます。

目安 3歳〜

4

「ひいきされている」と感じている様子があれば、言葉にして聞いてみる

「そう感じたんだね」と気持ちを受け止めてから、事情を話します。

目安 5歳〜

05よくある質問

下の子ばかり褒めてしまいます。上の子に悪い影響はありますか?

研究では、ひいきの方向にかかわらず「自分だけ扱いが違う」と感じること自体が、自己肯定感やきょうだい関係の質の低下と関連していました。褒める回数の差より、それぞれを個別に認める機会があるかどうかを意識するとよさそうです。

きょうだいゲンカのとき、いつも同じ子を叱ってしまいます。問題ですか?

特定のきょうだいに敵意や叱責が偏ることは、研究で問題行動の増加と関連が強いと報告されています。ケンカの内容を双方から聞き、どちらか一方を先に責めない対応が勧められます。

きょうだいどうしで比べてしまうのは自然なことですか?

子ども自身がきょうだいと自分を比べること自体は発達上よく見られることで、研究でも否定されていません。問題とされているのは、親が差をつけて接することの影響です。

出典

  1. Eradus, M., Leijten, P., Melendez-Torres, G. J., Foo, X. Q., & Oliver, B. R. (2024). Parental differential warmth, hostility, and sibling differences in internalizing and externalizing behavior problems: A meta-analysis. Journal of Family Psychology, 38(3), 387-399. https://doi.org/10.1037/fam0001194
  2. Rolan, E., & Marceau, K. (2018). Individual and Sibling Characteristics: Parental Differential Treatment and Adolescent Externalizing Behaviors. Journal of Youth and Adolescence, 47(12), 2535-2553. https://doi.org/10.1007/s10964-018-0892-8
  3. Steffgen, S. T., Otterpohl, N., Assor, A., Kanat-Maymon, Y., El Gueta, B., & Schwinger, M. (2025). "They always disfavor me!": Parental conditional regard undermines teenage sibling relationships through raising competition and perceived disfavoritism. Journal of Research on Adolescence. https://doi.org/10.1111/jora.70071