考える力・学び

幼児のタブレット学習アプリに効果はあるのか?乳幼児期の研究でわかっていること

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わかっている度 ★★☆ 中くらい研究4本(レビュー1本を含む)を整理
Tablet computer
Photo: KK IN HK / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品・教材の紹介はしていません。出典は末尾)。

知育アプリをタブレットで触らせても、しょせん動画やゲームと同じで「遊ばせているだけ」ではないか。そう感じて検索してきた親は多いはずです。結論から言うと、効果があるかどうかは年齢と、そのアプリがどう作られているかによって変わることが、複数の研究からわかっています。

3行でわかる

  1. 2〜3歳台の子ども130人の実験では、自分でタッチして選ぶより、ただ見ているだけのほうが新しい単語を覚えやすいという意外な結果が出ました(2020年)。
  2. 5〜6歳の子ども65人の実験では、タブレットアプリでの約10分の練習だけで、時計の読み方のテストの点数が12点中2.68点から8.32点に上がりました(2016年)。
  3. どちらも短時間の実験室での研究で、家庭で長く使い続けたときの効果はまだわかっていません。アプリの「質」を見分ける研究者の枠組みもあります。

01結論から言うと

タブレットの知育アプリに効果があるかは一概に言えません。年齢と、アプリが子どもにどう関わらせる作りかで結果が変わることが研究でわかっています。

「操作して遊ぶアプリ=能動的で学びに良い」「ただ見ているだけ=受け身で学びに悪い」というイメージを持つ親は多いと思います。しかし幼児を対象にした実験では、この予想が必ずしも当たらないことがわかっています。

とくに2〜3歳では、自分で画面を触って選ぶより、大人と一緒に見ながら言葉をかけてもらうほうが、新しい言葉を覚えやすいという結果が出ています。一方、5〜6歳では、短い時間のアプリ練習でも知識を身につけ、それを紙や実物にも応用できることが確かめられています。

02研究とデータでわかっていること

2〜3歳では「見るだけ」のほうが言葉を覚えやすく、5〜6歳では短時間のアプリ練習でも新しい知識が身につき、他の場面にも応用できることがわかっています。

130人タブレットでの単語学習実験に参加した2〜3歳台の子ども(ドイツ・2020年)
65人タブレットアプリで時計の読み方を学ぶ実験に参加した5〜6歳児(中国・2016年)
2.68→8.32点12点満点のテストで、アプリ練習前→練習後に上がった平均点(5〜6歳・2016年)
60人展開の速い映像を見た直後の実行機能を調べた実験に参加した4歳児(米国・2011年)

Ackermannら(2020)[1]

24か月・30か月・40か月の子ども130人に、タブレットで新しい単語を教える実験をしたところ、自分でタッチして教わる対象を選ぶ「能動」条件よりも、相手が選んだものをただ見て教わる「受け身」条件のほうが、新しい単語を正しく選べる割合が高くなりました。マレーシアの別の32人の子どもでも、同じ傾向が確認されました。

対象: ドイツ語を話す2〜3歳台の子ども130人、マレー語を話す2〜3歳台の子ども32人 / 限界: 研究用に作った簡易なアプリでの1回限りの実験で、市販されている知育アプリすべてに同じことが言えるとは限りません。

Wangら(2016)[2]

5〜6歳の子ども65人が、タブレットアプリで時計の読み方を約10分練習したところ、12点満点のテストの平均点が2.68点から8.32点に上がりました。アプリで覚えた内容は、紙に時計の針を描くテストや、実物の模型の時計を使うテストにも応用できていました。

対象: 5〜6歳の子ども65人(中国) / 限界: 「時計の読み方」という1つのスキルを、研究者が作った1つのアプリで調べた結果で、市販の他の知育アプリに同じ効果があるとは限りません。

Lillard・Peterson(2011)[3]

4歳児60人に9分間だけ、展開の速いアニメ、ゆっくりした教育的なアニメ、お絵かきのいずれかをしてもらったところ、展開の速いアニメを見たグループだけ、直後の実行機能(自己コントロールや作業記憶)のテストの成績が下がりました。これはタブレットアプリではなくテレビ番組を使った研究ですが、映像の展開の速さが幼児に与える影響を考える手がかりになります。

対象: 4歳児60人(米国) / 限界: アプリではなくテレビ番組を見せた実験で、タブレットの知育アプリそのものを調べた研究ではありません。

こうした結果を踏まえ、発達心理学者のグループは、アプリが学びにつながるかを見分ける4つの目安として「頭を使う作業があるか(active)」「夢中になれるか(engaged)」「学びの目的に合っているか(meaningful)」「誰かと一緒にやりとりできるか(social)」を提案しています[4]。

03まだわかっていないこと

実験室での短時間の結果が中心で、家庭で何週間も使い続けたときの効果や、市販の実際のアプリでの効果は、まだ十分にわかっていません。

  • 多くの研究は10分前後の実験室での1回限りの結果で、家庭で数週間・数か月使い続けたときに同じ効果が続くかはまだ調べられていません。
  • きょうだいや友達、親との対面でのやりとりと比べて、アプリでの学びがどれくらい劣るのか勝るのかを直接比較した研究はまだ少ないです。
  • 1歳前後など、さらに幼い子どもを対象にした知育アプリの研究はまだ限られています。
  • 研究はシンプルな実験用アプリで行われており、キャラクターや効果音のついた市販アプリで同じ結果になるかは十分に確認されていません。

04家庭で今日からできること

年齢に応じて使い方を変え、短時間で区切り、アプリの「質」を見る目安を持つこと。この3つが、研究から言える今日からできることです。

1

1〜3歳は「一緒に見て言葉をかける」使い方も選ぶ

この年齢では、子どもに操作を任せきりにせず、親が隣で「これは赤いりんごだね」のように言葉を添えながら見る使い方も、学びやすい選択肢になります。

目安 1〜3歳・1回10分程度

2

3〜6歳は短く区切って「他の場面」でも確認する

10分程度の練習でも力がつくという研究があります。長時間やらせるより短く区切り、アプリで学んだことを紙に書いたり、実物を使って確認したりすると理解が深まります。

目安 3〜6歳・1回10〜15分

3

アプリを選ぶときは4つの質問をしてみる

「頭を使う場面があるか」「夢中になれるか」「学びたいことと合っているか」「親や友達と一緒にやりとりできるか」。この4つがそろっているほど学びにつながりやすいとされています。

目安 すべての年齢・購入前に1分

4

展開が激しすぎるアプリは短めに切り上げる

テンポの速い映像を見た直後は、自己コントロールのテストの成績が一時的に下がったという研究があります。効果音や展開が激しいアプリは、長く続けさせず短めで切り上げる目安にします。

目安 3〜6歳・連続15分まで

05よくある質問

知育アプリは何歳から使わせていいの?

何歳からダメという基準はありません。1〜3歳では、自分で操作するより大人と一緒に見て言葉をかける使い方の方が学びやすいとする研究があります。年齢に応じて使い方を変えるのがポイントです。

タブレットの知育アプリと紙の教材、どちらが学びやすいの?

直接比べた研究はまだ少なく、優劣は断定できません。5〜6歳児がタブレットアプリで学んだ内容を、紙や実物にも応用できたという研究はあります。

知育アプリを長く使わせすぎるのは良くないの?

使いすぎそのものを調べた研究ではありませんが、展開の速い映像を見た直後に自己コントロールのテストの成績が下がった研究はあります。短時間で区切って使うほうが無難です。

出典

  1. Ackermann, L., Lo, C. H., Mani, N., & Mayor, J. (2020). Word learning from a tablet app: Toddlers perform better in a passive context. PLoS ONE, 15(12), e0240519. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0240519
  2. Wang, F., Xie, H., Wang, Y., Hao, Y., & An, J. (2016). Using Touchscreen Tablets to Help Young Children Learn to Tell Time. Frontiers in Psychology, 7, 1800. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2016.01800
  3. Lillard, A. S., & Peterson, J. (2011). The immediate impact of different types of television on young children's executive function. Pediatrics, 128(4), 644-649. https://doi.org/10.1542/peds.2010-1919
  4. Hirsh-Pasek, K., Zosh, J. M., Golinkoff, R. M., Gray, J. H., Robb, M. B., & Kaufman, J. (2015). Putting Education in "Educational" Apps: Lessons From the Science of Learning. Psychological Science in the Public Interest, 16(1), 3-34. https://doi.org/10.1177/1529100615569721