AI時代の進路・将来

AI時代に伸ばしたい「創造力」は本当に鍛えられる?研究でわかっていること

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わかっている度 ★☆☆ 低め研究3本を整理
500px provided description: A pile of colorful broken crayons. Taken from one of my craft tutorials. Great for collages, craft blogs, home a
Photo: Elissa Capelle Vaughn / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品・教材の紹介はしていません。出典は末尾)。

「これからはAIに仕事を取られない『創造力』が大事」とよく言われます。創造力トレーニングの教材も数多くありますが、本当に効果があるのでしょうか。2024年の大規模な分析では、これまで報告されてきた効果の多くが「発表されやすい研究ばかりが目立つ」バイアスによって水増しされていた可能性が高いとわかりました。

3行でわかる

  1. 創造性トレーニングの効果は、これまで報告されてきたより小さい可能性が高いと、169件の研究をまとめた2024年の分析でわかりました。
  2. 生成AIのアイデアを借りると、大人の実験では個人の作品の評価は上がりましたが、他の人の作品と似通いやすくなることもわかりました。
  3. メディアを同時にいくつも使う習慣が多い中学生ほど、半年後の「アイデアを広げる力」が低い関連が見られました。

01結論から言うと

創造力トレーニングには一定の効果があるとされてきましたが、見かけの効果の半分近くはバイアスによる水増しの可能性が高いとわかっています。

「創造力を鍛える」とうたう教材やプログラムは数多くありますが、効果を見た研究には、うまくいった研究ばかりが発表されやすいという偏り(発表バイアス)があることが知られています。

2024年の分析では、この偏りを統計的に調整すると、創造性トレーニングの効果は最初の報告よりかなり小さくなりました。

一方、生成AIをアイデア出しの道具として使うことには、個人の創造性を底上げする効果と、アイデアを似通わせてしまう副作用の、両方が確認されています。

02研究とデータでわかっていること

創造性トレーニングの効果は、バイアスを調整すると小さくなりました。生成AIは個人の作品評価を上げる一方、作品同士を似通わせました。

0.53→0.29〜0.32創造性トレーニングの効果の大きさ(SD)。発表バイアスを調整する前と後(2024年のメタ分析)
169件創造性トレーニングの効果を調べた研究の数・5十年分・844個の効果量(2024年)
609人メディアを同時に使う習慣と「発散的思考」の関連を6か月追った中学生の数(2025年)
+10.7%〜+8.9%生成AIのアイデアを使った文章が互いに似通った度合いの増加(アイデア1つ・5つ利用時、成人対象、2024年)

Sio・Lortie-Forgues(2024)[1]

創造性トレーニングの効果は、バイアスを調整する前は中程度(0.53 SD)でしたが、発表バイアスを調整するといくつかの方法で0.29〜0.32 SDまで下がりました。研究の質にも、方法上の弱さが広く見られました。

対象: 5十年分・169件の創造性トレーニング研究、844個の効果量 / 限界: 論文には参加者の年齢層の内訳が明記されておらず、子どもだけを対象にした効果かは分かりません。

Doshi・Hauser(2024)[2]

生成AIのアイデアを使えた書き手は、特に創造性が高くなかった書き手で、物語の「新しさ」「実用性」の評価が上がりました(アイデア5つ利用時、新しさ+10.7%・実用性+11.5%)。一方、AIのアイデアを使った物語同士は、使わなかった場合より似通っていました(アイデア1つで+10.7%、5つで+8.9%)。

対象: 英国の成人293人(Prolificで募集、短編小説を執筆) / 限界: 子どもではなく成人対象で、学校の作文や自由な創作にそのまま当てはまるとは限りません。

Shanら(2025)[3]

メディアを同時にいくつも使う習慣(ながらスマホ・ながら動画など)が多い中学生ほど、6か月後の「発散的思考(1つの物から多くのアイデアを広げる力)」が低い関連が見られました。この関連は、実行機能(自分を抑える力)の低下を介していました。

対象: 中国の中学生609人を6か月間で2回調査 / 限界: 関連を見た研究で、メディアの同時使用をやめれば必ず発散的思考が伸びるとまでは確認していません。

03まだわかっていないこと

創造性トレーニングの対象年齢の内訳は明らかではありません。子どもが生成AIを創作に使ったときの影響も、まだ直接調べられていません。

  • 創造性トレーニングのメタ分析は、参加者が子どもか大人かを研究ごとに区別しておらず、子どもの教室でそのまま同じ効果が出るとは限りません。
  • 生成AIのアイデアが創造性に与える影響を調べた研究は、今回確認できた範囲では成人対象で、子どもがAIを使って絵や物語を作ったときに同じ「似通う」現象が起きるかは調べられていません。
  • メディアの同時使用と発散的思考の研究は、生成AIの利用そのものを扱ったものではなく、動画・ゲームなど一般的なメディアの使い方についての研究です。

04家庭で今日からできること

AIに頼る前に自分で考える時間を作り、高額な創造力トレーニング教材には過度な期待をしないのが安心です。

1

AIに見せる前に、自分のアイデアを先に書き出させる

作文や自由研究では、まず自分の案を1つ以上出してからAIを参考にする順番にします。

目安 小学生〜

2

AIの案をそのまま使わず、自分らしく変えさせる

AIが出した案の一部だけを使う、自分の言葉に言い換えるなど、ひと手間を加える習慣にします。

目安 小学生〜

3

創作や宿題の時間は、動画や音楽の「ながら」を減らす

アイデアを広げる作業のときだけでも、同時に使うメディアを1つに絞ります。

目安 中学生前後・短時間から

4

「創造力が鍛えられる」教材への期待・出費は控えめにする

効果は思われているより小さい可能性があるため、教材選びの決め手にしすぎないほうが安心です。

目安 すべての年齢

05よくある質問

創造性トレーニングの教材やプログラムは意味がないんですか?

まったく効果がないわけではありませんが、2024年のメタ分析では、見かけの効果の半分近くが「発表されやすい研究ばかりが目立つ」バイアスによる水増しの可能性が高いとわかりました。高額な教材への期待は控えめにする方が安心です。

AIを使うと子どもの創造力は伸びますか、それとも落ちますか?

大人を対象にした実験では、生成AIのアイデアを使うと個人の作品の評価は上がりましたが、他の人の作品と似通いやすくなることもわかりました。子どもを対象にした研究はまだなく、どちらの結果も子どもにそのまま当てはまるとは限りません。

動画を見ながらの「ながら勉強」は創造力に良くないのですか?

中学生を6か月追った研究では、メディアを同時にいくつも使う習慣が多いほど、半年後の「発散的思考(アイデアを広げる力)」が低くなる関連が見られました。関連を見た研究であり、やめれば必ず伸びるとまでは確認されていません。

出典

  1. Sio, U. N., & Lortie-Forgues, H. (2024). The Impact of Creativity Training on Creative Performance: A Meta-Analytic Review and Critical Evaluation of 5 Decades of Creativity Training Studies. Psychological Bulletin, 150(5), 554-585. https://doi.org/10.1037/bul0000432
  2. Doshi, A. R., & Hauser, O. P. (2024). Generative AI Enhances Individual Creativity but Reduces the Collective Diversity of Novel Content. Science Advances, 10(28), eadn5290. https://doi.org/10.1126/sciadv.adn5290
  3. Shan, S., Li, Z., Fan, Y., Zhao, X., Lei, X., & Chen, Y. (2025). Executive Functioning as Mediator in the Longitudinal Relationship Between Media Multitasking and Divergent Thinking in Adolescents. Psych Journal. https://doi.org/10.1002/pchj.70038