AIの使わせ方

AIを使える子と使えない子で、学力の差は広がる?分かれ目は「使い方」と周りの関わり

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わかっている度 ★☆☆ 低研究3本・専門家の論考1本を整理出典照合済み(2026-10-04)
A computer lab in a small private college.
Photo: HazelGHC / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品・教材の紹介はしていません。出典は末尾)。

「AIを使いこなせる子と使えない子で、将来の学力に差がつくのでは」と心配になる親は少なくありません。研究を見ると、学びの結果を分けていたのは「AIを使えるかどうか」より「どう使うか」でした。AIを使う力そのものには、家庭や学校の関わりが関係していることもわかってきています。

3行でわかる

  1. 高校生約1,000人の実験では、答えを聞くだけのAIを使った生徒は、AIなしのテストで成績が17%低くなった。
  2. 小中高生約1万1千人の調査では、AIを使う力の高さは、家庭の経済状況より、親の関わりや学校の支援との関連の方が強かった。
  3. 「AIで学力の差が広がるか」を子どもで長く追った研究はまだない。今できるのは、答えではなくヒントとして使う習慣を一緒に作ること。

01結論から言うと

AIを使える子の方が学力が伸びるとは、まだ言えない。研究で差が出ていたのは使い方で、答えを聞くだけの使い方では、AIがない場面の成績が下がった。

トルコの高校で行われた実験では、普通のAIチャットを使った生徒は、練習問題の成績が上がりました。ところが、AIを外したテストでは、AIを使わなかった生徒より成績が低くなりました。

一方、AIを使う力(AIリテラシー)には差があります。中国の調査では、その差は家庭の豊かさだけでなく、親が使い方を教える関わりや学校の支援とも関連していました。つまり、差は「使えるかどうか」より、周りの関わり方と使い方から生まれている可能性があります。

02研究とデータでわかっていること

AIは使っている最中の成績の差を縮めるが、自分の力がつくかは使い方しだい。AIを使う力は、親の関わりや学校の支援と関連していた。

−17%答えを聞けるAIを使った高校生の、AIなしテストの成績(AIを使わなかった生徒との比較・トルコ、2023年秋)
約1,000人実験に参加した高校生(9〜11年生)の人数
11,020人AIを使う力を調べた中国の小中高生(2025年3〜6月の調査)
6.3%上の調査で、AIを使う力が最も高いグループに入った子の割合

Bastaniら(2025、米国科学アカデミー紀要 PNAS)[1]

高校生にAIの家庭教師を使わせる実験です。普通のAIチャットに近い版では練習問題の成績が48%、答えを直接言わずヒントを出す版では127%上がりました。しかしAIを外したテストでは、普通の版を使った生徒の成績はAIなしの生徒より17%低くなりました。ヒント型の版では、この悪影響はほぼ消えました(ただし成績が上がったわけではありません)。

差については、AIを使っている練習中は、どちらの版でも生徒どうしの成績のばらつきが小さくなりました。一方、AIを外したテストでは、もともとの成績などによる効果の違いは、ほとんど見られませんでした。

対象: トルコの高校1校の9〜11年生、約1,000人(2023〜2024年度の秋学期、90分の授業4回) / 限界: 1つの学校・数学だけの実験で、効果を測ったのは短い期間です。

Wangら(2026、Frontiers in Psychology)[2]

小中高生のAIを使う力をアンケートで測ると、多くの子(68.42%)は中くらいのグループに入り、最も高いグループは6.3%、最も低いグループは10.65%でした。AIを使う力との関連は、家庭の経済状況(相関0.183)より、親がスマホなどの機器の使い方を教える関わり(0.265)や学校のAI支援(0.253)の方が強めでした。

対象: 中国7省の小中高生11,020人(2025年3〜6月) / 限界: ある時点の調査なので、親の関わりがAIを使う力を高めたという因果関係まではわかりません。学力そのものは測っていません。

Noy & Zhang(2023、Science)[3]

大人の文章作成の仕事でAIチャットを使うと、かかった時間は40%減り、質は18%上がりました。働く人どうしの成果の差は小さくなりました。

対象: 大卒の社会人453人(18歳以上の大人) / 限界: 子どもではなく大人の仕事の実験です。学び(自分の力がつくか)ではなく、AIを使っている間の成果を測っています。

3本を並べると、AIは「使っている間の差」を縮めやすい一方で、「自分の力の差」をどう変えるかは別の問題だとわかります。テストや入試では、多くの場合AIを使えません。

03まだわかっていないこと

AIを使う子と使わない子の学力を、何年も追った研究はまだない。家庭の環境がAIの効果をどう変えるかも、これからの研究課題とされている。

  • AIを使う子と使わない子の学力の差が、年単位で広がるか縮まるかを追った研究は見つかりませんでした。今回見た実験も、90分の授業4回分という短い期間のものです。
  • 浜松医科大学の研究者は2026年の論考で、子どものAI利用について、家庭の経済状況やデジタルの力によって結果がどう変わるかを、長く追う研究で確かめる必要があると提言しています[4]。
  • 日本の子どもを対象に、AIを使う力と学力の関係を調べた査読研究は、今回の調査では見つかりませんでした。
  • 小学生のように年齢が低い子で、AIの使い方が学びにどう影響するかは、特に研究が少ない分野です。

04家庭で今日からできること

AIに答えではなくヒントを聞く習慣、親子で一緒に試す時間、AIなしで解き直す確認の3つは、お金をかけずに今日から始められる。

1

「答えを教えて」ではなく「ヒントだけ教えて」と頼む

実験では、答えを直接言わないAIでは成績の低下が起きませんでした。AIに頼む言葉を親子で一緒に考えてみましょう。

目安 小学校高学年〜高校生

2

親も一緒にAIを試して、使い方を話し合う

親が詳しくなくても大丈夫です。「この答えは本当かな?」と一緒に確かめるだけでも、使い方を教える関わりになります。

目安 週1回・10分から

3

AIで調べた後は、AIなしで1問解き直す

わかったつもりと本当にわかったことは違います。AIを閉じて似た問題を1つ解くと、自分の力になったかを確かめられます。

目安 宿題1回につき1問・5分

学校でAIを学ぶ機会や使い方のルールがあるかは、学校によって違います。気になる場合は、授業参観や面談のときに先生に聞いてみるのも1つの方法です。

05よくある質問

子どもにAIを早く使わせないと、置いていかれますか?

研究では、AIを使えるかどうかより「どう使うか」で学びの結果が分かれていました。答えを聞くだけの使い方では、AIがない場面で成績が下がった実験もあります。早さを競うより、ヒントとして使う習慣を一緒に作る方が大切だと考えられます。

家にパソコンがない・親がAIに詳しくないと不利になりますか?

中国の小中高生約1万1千人の調査では、家庭の経済状況とAIを使う力の関連は小さめでした。親が使い方を教えたり一緒に調べたりする関わりや、学校の支援の方が関連は強めでした。親が詳しくなくても、一緒に試して話し合うことはできます。

AIを使うと、勉強が苦手な子ほど得をするのですか?

大人の実験やAIを使っている最中の成績では、人による差が縮まる結果が出ています。ただしトルコの高校生の実験では、AIを外したテストでは学力による効果の違いはほとんど見られませんでした。「AIがあるときの差」と「自分の力の差」は分けて考える必要があります。

出典

  1. Bastani, H., Bastani, O., Sungu, A., Ge, H., Kabakcı, Ö., & Mariman, R. (2025). Generative AI without guardrails can harm learning: Evidence from high school mathematics. PNAS, 122(26), e2422633122. https://doi.org/10.1073/pnas.2422633122
  2. Wang, D., Wang, Q., & Zhang, S. (2026). Latent profiles of AI literacy among K-12 students: predictors and links to self-regulated learning. Frontiers in Psychology, 17, 1834851. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1834851
  3. Noy, S., & Zhang, W. (2023). Experimental evidence on the productivity effects of generative artificial intelligence. Science, 381(6654), 187–192. https://doi.org/10.1126/science.adh2586
  4. Nagata, A., & Tsuchiya, K. J. (2026). “Screen Time” to “AI Time”: AI use and cognitive, emotional, and behavioral outcomes in children and adolescents. Journal of Epidemiology, 36(3), 120–121. https://doi.org/10.2188/jea.JE20250445